2018 Fiscal Year Annual Research Report
輸送担体の分解機構に着目した新たな創薬パラダイムの創出
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17H04007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 久允 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (10451858)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 輸送担体 / 創薬 / トランスポーター / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者の成功事例に基づき、「輸送担体の細胞膜を起点とする分解機構の制御」が、輸送担体の活性化が治療に繋がる疾患群に対する有用な創薬戦略であることを、アテローム性動脈硬化症の抑制作用を有する脂質輸送担体ABCA1を用いて検証する。 研究代表者はABCA1の細胞膜からの分解がユビキチン化を起点として生じることを見出している。本知見に基づき、ABCA1の細胞膜におけるユビキチン化に関わる分子群を同定すべく、各種ライブラリー(cDNAライブラリー, siRNAライブラリー)のスクリーニング、インタラクトーム解析を実施した。その結果、HepG2細胞においてABCA1の細胞膜でのユビキチン化レベルを亢進し、細胞膜からのABCA1の分解を促進するユビキチンリガーゼを複数同定することに成功した。当該分子のABCA1に対する影響を個体レベルで検証すべく、当該分子群の遺伝子改変マウスの作出を開始した。 既に作出が完了したマウスに関しては、肝実質細胞、小腸上皮細胞、マクロファージなど、ABCA1が生理学的機能を担う細胞において、ABCA1のユビキチン化状態、細胞膜発現量、機能に関する評価を進めている。また、アテローム性動脈硬化病巣の作成に汎用される高脂肪食負荷試験を当該マウスを用いて開始した。大動脈のアテローム性動脈硬化病巣の傷害面積を算出することにより、ABCA1の分解機構の制御がアテローム性動脈硬化症の抑制に働くことを確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では第二年度までに、cDNAライブラリー、siRNAライブラリー、CRISPR-Cas9 sgRNAライブラリーを対象としたin vitroスクリーニングに加え、インタラクトーム解析を実施することにより、ABCA1のユビキチン化を担う候補分子を特定することを目標としている。 既に上記解析から複数の候補分子を同定し、当該分子のABCA1のユビキチン化に対する影響を個体レベルで検証すべく、遺伝子改変マウスの作出を開始している。また既に作出済の当該マウスについては生理学的、病理学的な解析を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子改変マウスを用い、ABCA1が生理学的機能を担う各細胞において当該遺伝子がABCA1のユビキチン化状態、細胞膜発現量、機能について評価する。
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