2017 Fiscal Year Annual Research Report
Osteogenic capillaries - new aspect of endochondral ossification
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17H04015
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松尾 光一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40229422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 有希子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70455343)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / 石灰化 / 耳小骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 内軟骨性骨化によって骨になる耳小骨や長管骨の解析から、内軟骨性骨化過程で働く新たな「内軟骨性骨芽細胞」の実体を明らかにしようと実験を進めた。その結果、耳小骨で見出された「内軟骨性骨芽細胞」と類似した細胞が、(成長板直下の軟骨・骨移行部ではなく)上腕骨遠位部の骨膜下などの、骨密度が特別に高い部分に存在することがわかった。意義:研究対象の細胞を、予測される機能に基づき「超石灰化骨芽細胞(hypermineralizing osteoblasts)」と呼ぶこととし、実体の解明が進んだ。 2.I型コラーゲンの発現細胞を可視化できるCol1a1-GFPマウスを用いた解析から、耳小骨の「超石灰化骨芽細胞」はI型コラーゲンの発現が低く、II型コラーゲンの発現が高いことが分かった。骨芽細胞マーカーであるオステオカルシンに陽性、Col1a1-GFPマウスでGFP陰性、かつ骨標識剤アリザリンでラベルされる骨形成部位に局在するという指標を用いて同定できることがわかった。意義:本来骨基質のタンパク質の9割程度を占めるI型コラーゲンだけでなく、軟骨に含まれるII型コラーゲンも産生する骨芽細胞が存在することが初めて明らかになった。 3.放射光施設SPring-8におけるX線位相顕微鏡を用いたマイクロCT解析により、腓骨における通常の骨芽細胞と、耳小骨における「超石灰化骨芽細胞」の両方を、細胞レベルで可視化できた。意義:内軟骨性骨化の過程を細胞レベルで空間的に把握することができるようになった。骨芽細胞と毛細血管の空間的な位置関係の情報が得られた。 4.耳小骨以外のマウスの骨格全体で、「超石灰化骨芽細胞」の主な存在部位が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「長管骨の成長板直下の軟骨・骨移行部では、通常の骨芽細胞とは異なる「内軟骨性骨芽細胞」が、骨形成性毛細血管を構成して、軟骨基質上に骨基質を添加する」という当初の作業仮説を追究した結果、耳小骨で内軟骨性骨化を担う骨芽細胞に似た骨芽細胞が、マウス骨格の成長板以外の部位に見出された。これは予期しない知見であったものの、新たに見出された「超石灰化骨芽細胞」が耳小骨の骨化に限られた特殊なものではなく、石灰化度の高い様々な部位に存在する普遍的な骨芽細胞である可能性が示され、「超石灰化骨芽細胞」が通常の骨芽細胞とは異なることが明確になってきたから。
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Strategy for Future Research Activity |
推進方策1.超石灰化骨芽細胞と骨密度の高い骨(の部分)との関係を明らかにする。Col1(Low)Col2(High)骨芽細胞を、超石灰化骨芽細胞(Hypermineralizing osteoblasts)として一般化できるかどうかを検討する。 2.超石灰化骨芽細胞の分化条件を検討する。骨軟骨前駆細胞株を用いて、細胞外マトリックスの組成や成長因子の添加などを変えて、試験管内で超石灰化骨芽細胞が出現する条件を解明する。 3.超石灰化骨芽細胞と骨形成性毛細血管の関係の解析。耳小骨では、毛細血管周囲に骨芽細胞が配列していたが、耳小骨以外の部位での超石灰化骨芽細胞が毛細血管に直接的に接触しているかどうかは知られていない。免疫組織化学などを駆使して、血管内皮細胞と超石灰化骨芽細胞との関係を解明する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Effects of long-term cigarette smoke exposure on bone metabolism, structure, and quality in a mouse model of emphysema.2018
Author(s)
Mamoru Sasaki, Shotaro Chubachi, Naofumi Kameyama, Minako Sato, Mizuha Haraguchi, Masaki Miyazaki, Saeko Takahashi, Takayoshi Nakano, Yukiko Kuroda, Tomoko Betsuyaku, Koichi Matsuo.
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 13
Pages: e0191611
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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