2017 Fiscal Year Annual Research Report
エンドソームとミトコンドリアの物理的相互作用と機能連関による細胞機能の調節機構
Project/Area Number |
17H04016
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大場 雄介 北海道大学, 医学研究院, 教授 (30333503)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞内小器官 / 蛍光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
低分子量Gタンパク質Rasと標的分子複合体のうち、Ras-PI3K複合体のみがエンドソーム移行する分子メカニズムの解明を目指した。標的因子のRas-binding domain(RBD)のアミノ酸配列解析により、PI3K-RBDに存在する特徴的な配列を同定した。この配列を欠損させるとRas-PI3Kのエンドソーム局在が抑制されたことから、Ras-PI3K endosomal localization domain(RAPEL domain)と命名した。RAPEL過剰発現によりエンドサイトーシスが抑制された。また、エンドサイトーシスを介して細胞に侵入するインフルエンザウイルスの感染も抑制された。さらに、RAPELと細胞膜透過性ペプチド(cell penetrating peptide, CPP)との誘導ペプチドを合成した。ペプチドを導入した細胞にインフルエンザウイルスを暴露したところ、感染抑制効果が認められた。以上より、RAPELはペプチド療法にも応用可能であることが示された。これらの結果は、現在学術雑誌に投稿、リバイス中である。 一方、上記の結果は、RAPELに結合する因子がRas-PI3K複合体のエンドソーム移行とエンドサイトーシスを制御することを示唆するものである。RAPEL結合因子を質量分析法と酵母ツーハイブリッド法でスクリーニングしたところ、合計50個の因子が同定された。このうち、8個がミトコンドリアの物質輸送に関連する分子であった。このうち、因子Xについて詳細な解析を行ったところ、この因子のノックダウンでエンドサイトーシスが抑制された。一方、他の因子Yをノックダウンしたところ、エンドサイトーシスが亢進した。すなわち、XはRas-PI3Kシグナルによるエンドサイトーシス制御に対する正の制御因子でること、Yは負の制御因子であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね調書記載の計画通りの進捗であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画にしたがって、上記の因子X、Yに加えて他の6因子についても以下の(1)から(8)の実験を進める。(1)RAPELとの結合の確認および結合様式の決定、(2)ノックダウン/ノックアウト細胞と野生型/変異型因子による再構成、(3)細胞内局在の決定、(4)Ras-PI3K局在制御における機能解析、(5)ミトコンドリア―エンドソーム相互作用の解析、(6)ファミリー/アイソフォームにおける機能の保存性の有無の検討、(7)候補因子とミトコンドリア相互連関によるエンドサイトーシスの調節機構、(8)候補因子とエンドソームによるミトコンドリア機能の調節機構。 まら、これらの結果にもとづいて、オルガネラ動態と細胞機能のモデル化を実施する。
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