2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of dynamic structural rearrangements of functioning ion channels by fluorescent unnatural amino acid
Project/Area Number |
17H04021
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
久保 義弘 生理学研究所, 分子細胞生理研究領域, 教授 (80211887)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ATP受容体チャネル / 蛍光非天然アミノ酸 / 動的構造変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ATP受容体チャネルP2X2は、分子内に典型的な膜電位センサーを有しないにも関わらず、過分極電位において膜電位依存的活性化を示す。すなわち、ATPおよび膜電位に依存する受容体チャネルである。本研究では、P2X2の膜電位変化に依存する動的構造変化を捉えることを目的として、改変したtRNAを用いて分子内に蛍光非天然アミノ酸fUAAをとりこませ、蛍光強度の膜電位依存的変化を解析する実験を行った。P2X2の分子内の様々な部域に網羅的にfUAAラベルを行った結果、第2膜貫通部位の中ほどに位置するAla337にfUAAを取り込ませたコンストラクトにおいて、膜電位依存的構造変化を初めて検出した。さらに、fUAAの近傍に位置するLue334に、点変異によりTrp残基を導入することにより、構造変化依存的なquenchingを起こさせ、膜電位に依存するシグナル変化を増強させることに成功した。 また、Two pore Na+チャネル TPC3 についても、分子内に2箇所ある膜電位センサーの寄与を、陽電荷の変異体の作成および蛍光ラベルの導入により解析を行った。その結果、2つ目の膜電位センサーのみが膜電位依存的ゲーティングに寄与し、また動的構造変化を示すことが明らかになった。 Gタンパク質結合型内向き整流性K+チャネルGIRKチャネルについて、抗寄生虫剤であるIvermectinが活性化作用を示すことを見出し、またその作用部位が他のチャネルの場合と異なりN末端細胞内領域に位置するIle82であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最大の課題であるATP受容体チャネルP2X2を対象とした研究において最大の課題として掲げた、膜電位変化に伴う構造変化が膜貫通部位に蛍光非天然アミノ酸を導入したコンストラクトで捉えられた。またTPC3チャネルについては、2つの膜電位センサーの差異的な作動を明らかにし、GIRKチャネルについては、Ivermectinの作用部位の決定に成功した。以上より順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
P2X2については、Trp残基の導入によるquenchingの実験を継続し、膜電位依存的構造変化に伴うより大きなシグナル変化を検出し構造変化の詳細に迫ることを目指す。TPC3については、プライミングと呼ばれる長い脱分極に伴う易活性化のメカニズムとそれに伴う構造変化の検出を目指す。GIRKチャネルについてはIvermectin以外の作用物質の探索を行う。
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Research Products
(9 results)