2017 Fiscal Year Annual Research Report
Gα13-RhoGEF細胞情報伝達系の構造と分子間相互作用機構の解明
Project/Area Number |
17H04034
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
小笹 徹 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (70202059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柊元 睦子 国立研究開発法人理化学研究所, その他, 研究員 (30321756)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 三量体Gタンパク質 / G12/13 / RhoGEF / RhoA / シグナル伝達 / X線結晶構造解析 / タンパク質相互作用 / クライオ電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. G12/13-RhoGEF-RhoAシグナル伝達系の構造解析 H29年度は、Galpha13およびDH/PHドメインを含むLARG(leukemia associated Rho GEF)、のリコンビナントタンパク質をそれそれ大量精製し、ゲルろ過カラムにより複合体(18mg/ml)を調製した。この複合体の結晶化の条件検討のスクリーニングを行なったところ、いくつかの条件下で結晶の析出を確認した。その結晶をSpring-8放射光で解析を試みたが、析出した結晶はタンパク質ではなく低分子の結晶であることが判明した。現在、LARGのコンストラクトの改変、クロスリンカーの使用などにより複合体をより安定化させるをことを目標に、結晶化条件の再検討を行なっている。また、X線結晶構造解析と並行して、クライオ電子顕微鏡を使用した複合体の構造解析も開始した。予備実験で、精製したGalpha13とLARGをクロスリンクし電子顕微鏡で観察し、複合体の像を得ることができた。今後クライオ電子顕微鏡による解析を行うため、タンパク濃度、凍結条件などの条件を検討してゆく計画である。また、Galpah13と相同だが明らかに異なる生理機能をもつGalapha12について、Galpha12-p115RhoGEF のRHドメインの構造解析も進めている。 2. G13-RhoGEFの分子間相互解析によるホットスポットの同定 Galpha13について、Galpha13-p115RhoGEF RH ドメイン複合体のX線結晶構造解析より解明したGEF活性化及びGAP活性のインターフェースの点変異体を調製し、現在それらのリコンビナントタンパク質の調製を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、研究代表者の横浜薬科大学での新しい研究室の立ち上げと実験施設の整備に経費と時間を要した。研究分担者が理化学研究所で行っているGalpaha13とRH/DHドメインを含むRhoGEF(LARG)のタンパク質結晶はまだ得れれていないが、複合体調製は順調に行われており、結晶条件の検討をさらに進めている。また、X線結晶構造解析に加えてクライオ電子顕微鏡を用いた複合体の構造解析も進めていて、電子顕微鏡による予備実験の結果も出ている。理化学研究所に新たに設置されたクライオ電子顕微鏡を用いる計画である。 これら2つの異なる手法を用いて構造解析を進めることにより、Galpha13-RhoGEF複合体の構造解析をさらに進めることができると考える。また、Galpha12とp115RhoGEFのRHドメイン複合体の結晶解析も進めていて、現在その結果を解析中である。Galpha13-RhoGEFの動的分子相互作用解析については、相互作用のホットスポットの候補部位の点変異体のリコンビナントタンパク質の調製を行なっている。また、同時に乳がんや大腸がん細胞株を用いて、Gapha12/13-RhoGEFシグナル伝達系の細胞遊走や細胞浸潤能のアッセイ系も立ち上げて、Galpha13やRhoGEF変異体の細胞での機能解析の準備も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
Galpha13-RhoGEF複合体の結晶条件の検討を引き続き行う。特にクロスリンカーを用いたりやRhoGEFコンストラクトの改変を行うことにより、複合体の安定化を試みる。また、RhoAを含む3者複合体がGalpha13-RhoGEF複合体より安定である可能性もあるので、Galpha13-RhoGEF-RhoAの3者複合体の調製も行い結晶化条件の検討を行う。X線結晶構造解析と並行して、クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析も進める計画である。理化学研究所に新たに設置されたクライオ電子顕微鏡は、FEI Tecnai Arctica に電子検出装置 Gatan K2 summitを備えた最新の設備である。Galpha12-p115RhoGEF RHドメインのX線結晶構造解析を進める。Galpha13-RhoGEFの動的分子間相互作用の解析については、Galpha13の変異体のリコンビナントタンパク質をSf9-バキュロウイルス発現系を用いて精製し、SPRを用いた解析を行なう。SPR解析には、研究代表者が客員研究員として所属する東京大学先端科学技術研究センターのBiacore T200を使用する。また、RhoGEFの変異体作成も進めてゆく。さらに、培養がん細胞を用いて、G12/13-RhoGEFシグナル伝達系の細胞遊走や浸潤での役割をアッセイする系を確立し、上記変異体がこれらの機能に及ぼす影響を検討する計画である。上記研究計画を進めるため、平成30年度中に研究補助員1名の採用を予定している。
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