2017 Fiscal Year Annual Research Report
Discovery of novel progeroid syndrome loci and contribution to normative aging
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17H04037
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
OSHIMA JUNKO 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任教授 (80792275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横手 幸太郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20312944)
田中 知明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50447299)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝学 / ゲノム / 老化 / 内科 / 早老症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の第一の目的として、未知の早老症原因遺伝子の探索と候補遺伝子の同定を目指して、ワーナー・レジストリーで原因不明の症例を対象に、次世代シーケンシングによるwhole exsome sequenceをarray CGHと HapMap linkageと組み合わせて原因となる遺伝子変異の候補を探索を行った。次世代シーケンシングによるメンデル性疾患の発見成功率は、概ね25%前後であるが、ワシントン大学施設では~40%を報告している。今回、過去の知見も含めて、WRNに加え、国際レジストリーの症例で報告されている新たな早老症遺伝子として、LMNA、POLD1、SPRTNなどが検出された。また、新規の遺伝子として、早老症候補遺伝子を同定することに成功した。これらの遺伝子については、SeattleSeq Annotation Server を主に用いて、バイオインフォマティクス解析を実施した。このプログラムは、既知の疾患遺伝子を検索後、遺伝多様性について、一般頻度が0.5%以上のものを除外し、アミノ酸変異による蛋白機能変化の予測のために、数々のプログラムを用いて、一人につき約2000以上ある変化の中から原因遺伝子の候補を絞り込むものである。 原因遺伝子の候補となったものについて、サンガー法で変異の存在を再確認し、家族内でのセグリゲーションを確認した結果、putative genesとしている。今後、CRISPR/Cas9システムを用いて、これらの変異が生じる機能解析をin vitroのcell-based assayで検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワーナー・レジストリーで原因不明の症例を対象に、次世代シーケンシングによるwhole exsome sequenceをarray CGHと HapMap linkageと組み合わせて原因となる遺伝子変異の候補を探索を行うことが、計画通り実施できた。これは、すでに研究代表者らが構築してあるレジストリーのサンプルを用いることができたことが大きい。さらに、ワシントン大学のインフラとして使用できるサーバーとバイオインフォマティクス手法を利用できた結果、既存のWRN遺伝子変異に加え、新規の早老症候補遺伝子を同定することに成功した。このことから計画は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
発見された原因遺伝子の変異について、原因であることの生物学的機能解析を実施する。患者から得られた細胞あるいは実験的に突然変異を導入した細胞を用いて、細胞加齢のパラメターと新規に発見された遺伝子の性質から考慮されるパラメターを定量的に解析し、その生物学的メカニズムを解明する。具体的には、発見された変異を導入しのヒト線維芽細胞に作成するが、比較的長い細胞寿命を有することが知られている正常ヒト線維芽細胞株を用いる。導入する変異は、変異のタイプに応じてsiRNA、CRISPRまたは過剰発現を用いる。第一選択は相同組換えを利用したCRISPRシステムで、現在はCas9とガイドRNAをゲノム挿入レンチウイルスで、相同組換えドナーDNAはアデノ随伴ウイルスを用いたシステムを用いている。CRISPRで予期しない問題がある場合は、劣性遺伝の変異はsiRNA,優性遺伝は変異体cDNAの過剰発現を用いる。 加えて、in vitroの解析において、老化の形質などを認めた場合には、発展的研究計画として、早老症治療に向けた薬物実験を細胞レベルで行う。具体的には、新規早老症の特性評価の一部として、mTOR経路阻害剤およびp38MAPK阻害剤に対する反応を細胞レベルで検討する。mTOR経路は老化の重要な調節因子で、栄養豊富な環境(高mTOR活性)での細胞増殖を促進し、栄養の乏しい環境(低mTOR活性)では幹細胞維持に資源を転換することが知られている。一方、WRN欠損線維芽細胞は、短期のmTOR経路阻害剤によって一過性にオートファジー上昇と増殖能低下が見られた後、長期の使用で細胞増殖能の回復とDNA損傷の減少することが複数の研究室で観察されている。これらの特性を応用して、創薬基盤モデルの構築を推進する方策である。
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Research Products
(6 results)