2019 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患発症を抑制する胸腺上皮細胞の機能を制御する新規転写因子の解析
Project/Area Number |
17H04038
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
秋山 泰身 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (50327665)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己免疫 / 胸腺 / T細胞 / 上皮細胞 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺髄質に局在する上皮細胞(mTEC)は、自己免疫疾患の発症を抑制に必須である。mTECは多種類の組織特異的タンパク質を異所的に発現して抗原提示し、自己応答性T細胞を除去する。本研究は、mTECの組織特異的遺伝子発現を制御し、自己免疫疾患の発症を抑制する、新たな転写因子Xの同定を目的とする。 前年度までに、組織特異的遺伝子の発現誘導に重要な転写因子Xについて、胸腺上皮細胞特異的に欠損するマウスを作成、その欠損マウス由来の胸腺上皮細胞を解析した。その結果、転写因子Xが減少することで、CD80の発現が低い胸腺上皮細胞で組織特異的な遺伝子発現の減少が見られた。またシングルセルRNA-seq解析を行うことで、組織特異的遺伝子の発現減少を確認した。 本年度は、自己免疫の抑制における転写因子Xの役割解明を目指し、転写因子X欠損マウスを解析した。胸腺上皮細胞特異的に転写因子Xを欠損するマウス(20週令)を解析したところ、肝臓、肺など様々な臓器に炎症性細胞浸潤が認められた。ついで転写因子X欠損マウスの血清を採取し、自己抗体の検出を試みた。RAG欠損マウスの組織切片を用いた免疫組織染色により、自己組織に応答する抗体の検出を試みたところ、肝臓や肺などの一部の組織に対する抗体が検出された。またRAG欠損マウスの組織から細胞ライゼートを準備し、それらをアクリルアミドゲルで分離後、転写因子X欠損マウスの血清を1次抗体としたウエスタンブロットを行なったところ、肝臓や肺など様々な組織の細胞ライゼートに対する抗体が検出された。これらの結果は、転写因子Xが胸腺上皮細胞で機能して自己免疫を抑制することを示している。 以上の実験結果とこれまでの知見から、転写因子Xは胸腺髄質上皮細胞で組織特異的遺伝子の発現を誘導し、自己免疫を抑制する因子であると考えられる。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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