2019 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜損傷を引き金とする細胞運命決定の分子基盤解明
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17H04045
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
河野 恵子 沖縄科学技術大学院大学, 膜生物学ユニット, 准教授 (30632723)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 老化 / がん / 細胞膜損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
この世で最初の細胞は遺伝情報を司る核酸とそれを包み込み環境変化から守る膜により成立した。従って細胞膜の傷を修復する「細胞創傷治癒」の仕組みは、生命誕生からほどなくして獲得されたと考えられる。細胞膜損傷はデュシェンヌ型筋ジストロフィー症を始めとする様々な疾患に関与するが、分子機構の全貌は不明である。申請者は細胞膜損傷はその程度に応じて細胞周期を一時停止するチェックポイント、細胞周期を恒久的に停止する細胞老化、細胞死(アポトーシス)という異なる細胞の命を導くことを見出している。軽微な細胞膜損傷は出芽酵母とヒト培養細胞においてDNA複製マシナリーの分解を誘導し、さらに細胞周期を停止させるタンパク質群の安定化に寄与していた。重篤な細胞膜損傷は細胞周期の不可逆的停止に必要なタンパク質群の発現誘導が認められ、さらに重篤になるとアポトーシス様の死が誘導された。細胞膜損傷に応答したチェックポイントは、当初予想していたG1期のみならず、G2/M期やM期途中にも存在することが見出され、p53がその鍵を握る分子であった。さらにがん細胞と正常細胞とで膜損傷による細胞運命決定に違いがあることが分かった。正常細胞では細胞膜損傷の強度に応じて細胞周期チェックポイント・細胞老化・細胞死の三つの運命が誘導される。一方がん細胞は細胞老化を回避して増殖を続ける独自の分子機構を有し、細胞膜損傷の強度に応じて細胞周期チェックポイント・細胞死という二つの運命が誘導される。本研究成果は将来的に新たながん治療法の開発につながる可能性がある。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)