2020 Fiscal Year Annual Research Report
革新的質量分析法を用いた悪性中皮腫診断マーカーの同定
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17H04059
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
鶴山 竜昭 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 研究員 (00303842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 明彦 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80378645)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 悪性中皮腫 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性中皮腫(MM)の診断マーカーをプロテオミクスアプローチにより、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片を使用して、MMの新規免疫組織化学的バイオマーカーの特定を試みた。MMのうち、類上皮性悪性胸膜中皮腫(EMPM)および正常中皮細胞(NM)の24の組織切片からタンパク質を抽出した(グループあたり6人の患者、患者あたり2つのサンプル)。液体クロマトグラフィー質量分析(LC / MS)を使用して定量評価を行うため、抽出方法の開発を行った。最適破砕周波数設定に従って超音波破砕装置をもちいて組織の断片化、加熱、溶媒処理を行った。その結果、MMにおいて高頻度の突然変異が起こる遺伝子として報告されているRhoAが、EMPMで有意に高かった。さらに、ビジリン、カルレチニンおよび小胞体関連タンパク質を含むカルシウム結合タンパク質、PRDX4など活性酸素除去に関わる酵素の量が、NM組織よりもEMPMでNMに比べ有意に高かった。この結果を検証するため、93例の MM(類上皮、71例、肉腫様、13例、二相性、9例)、64例の肺腺癌(LAC)、60例の肺扁平上皮癌(LSC)、転移性肺癌、および14例の NM組織を用いた系統的な免疫染色が実施された。 転移性肺癌のデータの一部は論文として報告した(2020, Scientific reports) 。その結果RhoAとビジリンは、EMPMの細胞質でびまん性に染色されたが、胸膜肉腫様MM、および類上皮MMを含む腹部MMでは陰性であり、LACとLSCではごく一部の症例で弱陽性であった。加えて、 RhoAおよびビジリン染色は、既存のマーカーであるD2-40およびカルレチニンと正の相関を示した。したがって、RhoAおよびビジリンのIHCは、EMPMを他のMM、および肺癌と区別するのに役立つことがわかり、新たな中皮腫の診断用バイオマーカの候補と考えられた。以上の成果は、現在、病理学専門誌に投稿中である。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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