2018 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト重症心筋症変異ノックインマウス樹立~新規心不全モデル確立と病態・治療の解明
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17H04061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 啓行 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60323573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 敦子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60529147)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心不全 / 拡張型心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度には、平成29年度に引き続いて、CRISPR/Cas9システムを用いて、ヒト重症心筋症遺伝子変異(HOPX Lys23Asn)ノックインマウス作製を続行した(申請時以来HOPと呼称してきた遺伝子に関して遺伝子名称の国際基準に則り本報告書以後HOPXと呼ぶ)。患者病態を反映した新規心不全モデルマウスを確立し、さらにそのモデルマウスを用いた病態解析をおこなった。 1)既に平成29年度にCRISPR/Cas9システムを用いて、ヒト重症心筋症遺伝子変異(HOPX Lys23Asn)ノックインマウスを樹立していたが、平成30年度は心エコー解析、心筋遺伝子発現解析、生存率フォローアップ解析に供するためにマウスの交配を進め、解析に十分な匹数のHOPX Lys23Asnノックインマウスヘテロ型を得た。 2)上記HOPX Lys23Asnノックインマウスヘテロ型の心臓エコー検査によるフォローアップをおこない、確かにこの変異はヘテロ型で心機能低下をきたすことを確認した。ただし、その心機能低下はヘテロ型ヒトにおけるほど激しいものではなく、軽度~中等度の心機能低下にとどまり、約1年間の普通飼育下でも心不全死亡は観察されなかった。また、すべてのHOPX Lys23Asnノックインマウスヘテロ型は遺伝的背景が均一、同一環境で飼育しているにもかかわらず、心機能低下の程度には個体差が存在した。 3)心不全関連遺伝子発現解析、病理学的解析(心筋細胞数、心筋細胞径、アポトーシス、線維化)に関しては解析用サンプルを採取、冷凍保存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HOPX Lys23Asnノックインマウスヘテロ型の心臓エコー検査によるフォローアップをおこなったところ、すべてのHOPX Lys23Asnノックインマウスヘテロ型は遺伝的背景が均一、同一環境で飼育しているにもかかわらず、心機能低下の程度には個体差が存在した。再現性を得るためにかなりの匹数を重ね、「バラつきがあるのが科学的真実」という結論に達するまでに時間を要した。そこで、心不全関連遺伝子発現解析、病理学的解析に関しては解析用サンプルを採取、冷凍保存するステップにとどまっている。今後はこの心機能低下の程度のバラつきと遺伝子発現、病理所見がどう連関しているのかという視点からの解析も進める計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 既に作製したHOPX Lys23Asnノックインマウスヘテロ型の心臓エコー検査によるフォローアップと普通飼育下での生存率フォローアップを続行する。個体による心機能低下の程度のバラつきを確認する。 2) 心不全関連遺伝子発現解析、病理学的解析(心筋細胞数、心筋細胞径、アポトーシス、線維化)を進める。 3) 正常型マウスとHOPX Lys23Asnノックインマウスヘテロ型の心筋細胞遺伝子発現プロファイルをシングルセルの系で網羅的に解析し比較検討をおこなう。心筋リモデリング異常や心不全による二次的変化が及ぼす影響を最小限にするため、フェノタイプ発現前(胎仔期)の心室心筋細胞遺伝子発現プロファイルの解析を計画している。 4) マウスモデルに大動脈縮窄による圧負荷を施し、ストレス応答にどのような差異をもたらすのか検討をおこなう。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Impact of pathogenic FBN1 variant types on the progression of aortic disease in patients with Marfan syndrome.2018
Author(s)
Takeda N, Inuzuka R, Maemura S, Morita H, Nawata K, Fujita D, Taniguchi Y, Yamauchi H, Yagi H, Kato M, Nishimura H, Hirata Y, Ikeda Y, Kumagai H, Amiya E, Hara H, Fujiwara T, Akazawa H, Suzuki J-i, Imai Y, Nagai R, Takamoto S, Hirata Y, Ono M, Komuro I.
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Journal Title
Circulation: Genomic and Precision Medicine
Volume: 11
Pages: e002058
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Cardiomyocyte gene programs encoding morphological and functional signatures in cardiac hypertrophy and failure.2018
Author(s)
Nomura S, Satoh M, Fujita T, Higo T, Sumida T, Ko T, Yamaguchi T, Tobita T, Naito AT, Ito M, Fujita K, Harada M, Toko H, Kobayashi Y, Ito K, Takimoto E, Akazawa H, Morita H, Aburatani H, Komuro I.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 9
Pages: 4435
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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