2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanisms underlying maintaining tissue homeostasis of surface barrier at neonatal stages
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17H04069
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
中野 裕康 東邦大学, 医学部, 教授 (70276476)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | cFLIP / 皮膚炎 / アポトーシス / FasL / TRAIL / IL-6 / IL-17A / TH17細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに表皮特異的cFLIP欠損マウスとTNFR1受容体欠損マウスと交配すると、正常に出生するが生後しばらくして重篤な皮膚炎を発症し10日以内に致死となることを明らかにしてきた。本研究ではTNFR1非依存性の表皮の細胞死誘導のメカニズムと、また表皮の分化障害のメカニズムを検討した。TNFR1欠損でかつ表皮特異的cFLIP二重欠損マウスの表皮では不全角化や基底細胞の増殖などヒトの乾癬様の組織学的所見が認められ、乾癬の発症に関与するTH17細胞やIL-17Aの皮膚炎の関与を検討した。表皮の組織学的な解析ではアポトーシス細胞が散見され、CD3陽性細胞のT細胞の浸潤はほとんど認められなかったものの、CD11b陽性やF4/80陽性の単球や樹状細胞が多数浸潤していることが明らかとなった。TNFR1非依存性の細胞死がこの病態に関与しているかを明らかにするために、FasLやTRAILに対する中和抗体を投与してところ、皮膚炎の改善に伴いマウスの生存期間の有意な延長と、CD11陽性細胞やF4/80陽性細胞の浸潤が軽減した。このことから新生児期に発症するこのマウスの皮膚炎では少なくともTH17細胞の関与は低く、自然免疫系細胞の過剰な活性化が病態の増悪に関与していることが考えられた。また皮膚炎の局所で発現の亢進していたサイトカインであるIL-6, IL-17A, IL-24の表皮分化障害への役割を検討した。予想外なことにIL-6の存在下でケラチノサイトを培養することで、著明な分化障害が認められた。表皮特異的なSTAT3の恒常的な活性化マウスが乾癬様の皮膚炎を発症することと合致した所見であった。In vivoにおいても皮膚炎を発症しているマウスの表皮ではリン酸化STAT3の陽性細胞が認められたことから、表皮においてSTAT3が活性化することで、著明な分化障害が誘導されていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
cFLIP E-KOマウスで認められたTNFR1非依存性の細胞死シグナルの同定を、遺伝子欠損マウスとの交配ではなく、FasLやTRAILなどの中和抗体投与により明らかにすることができ、かつJ Allergy Clin Immunol誌に掲載されたことから、研究計画は当初より前倒しに達成されたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
同時に行ったIn vitroのケラチノサイトの培養実験からTNFやIL-17A以外に、IL-6が著明にケラチノサイトの分化マーカーの発現を抑制することを見出した。表皮の異所性角化や増殖が亢進するヒトの疾患として乾癬が知られているが、乾癬の治療にはTNFやIL-17Aに対する中和抗体は効果があるものの、IL-6に対する中和抗体はむしろ増悪させることが知られている。今後はIL-6がどのようなメカニズムで表皮分化マーカーの発現を抑制するのか、乾癬と遺伝子改変マウスで見られる病変との相違点などのメカニズムを解明していきたい。
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Remarks |
プレスリリース 掲載日:2018.03.27 東邦大学 表皮細胞の環境変化が重篤な皮膚炎を引き起こすことを発見 ~ 乾癬・アトピー性皮膚炎等の難治性皮膚疾患の新たな治療戦略への知見 ~
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Research Products
(21 results)