2017 Fiscal Year Annual Research Report
ACTパートナー薬剤耐性対策を目的とするマラリア原虫由来メフロキン耐性遺伝子同定
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17H04071
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岩永 史朗 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20314510)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マラリア / メフロキン / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルテミシニンとパートナー薬剤による併用療法(ACT)は熱帯熱マラリアに対する第一選択治療法である。近年、ACTの治療効果が低下し、その原因はアルテミシニン耐性にあるとされてきた。しかし現実には多くの患者においてパートナー薬剤に対する耐性により治療が失敗することが指摘され、既にタイ・カンボジアにおいてはパートナー薬剤の変更を余儀なくされている。現在、汎用されるパートナー薬剤はメフロキンとピペラキンである。ピペラキン耐性についてはクロロキンと同じく、PfCRTが耐性遺伝子として同定され、耐性機構の解明・耐性原虫対策が進められている。しかしメフロキン耐性については未だ耐性遺伝子が同定されておらず、有効な対策は講じられていない。一方、申請者はこれまでに(1)タイ由来メフロキン耐性株の獲得、(2)人工染色体技術に基づく新規耐性遺伝子同定法の開発を行ってきた。そこで本研究では上記成果を組み合わせ、メフロキン耐性遺伝子の同定と耐性機構の解明を試みる。本年度はタイーメーホンソン居住の患者より採取したメフロキン耐性原虫を使い、人工染色体を用いた遺伝子ラブリラりーを作製することを試みた。それに先立ち、使用するゲノム解析と耐性試験を行った。その結果、使用する株は既知のメフロキン耐性遺伝子(PfMDR1の遺伝子重複)は持っていないことが示された。また、同時にSNPs解析を行い、今後の研究結果と比較するための情報を得た。さらに耐性試験ではIC50値で比較し、野生型の約3倍程度の耐性であることが明らかとなった。次にこれよりライブラリーを作製した結果、ゲノム全体を約8ー9カバーするライブラリーを作製できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規なメフロキン耐性遺伝子を同定することを目的とし、これまで得られていた原虫株のゲノム解析を行った結果、既知の耐性遺伝子を持たず、明確な耐性を示す株を得ることができた。また、遺伝子ライブラリーも順調に作製でき、目標としていたゲノムを10カバーするライブラリーとほぼ同等のものを作製することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したライブラリーをメフロキンでスクリーニングすることにより耐性遺伝子の同定を試みる。また、同定できた場合は変異解析・組み換え原虫を用い耐性遺伝子の機能解析を進める。
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[Journal Article] Immune evasion of Plasmodium falciparum by RIFIN via inhibitory receptors2017
Author(s)
Saito Fumiji、Hirayasu Kouyuki、Satoh Takeshi、Wang Christian W.、Lusingu John、Arimori Takao、Shida Kyoko、Palacpac Nirianne Marie Q.、Itagaki Sawako、Iwanaga Shiroh、Takashima Eizo、Tsuboi Takafumi、Kohyama Masako、Suenaga Tadahiro、Colonna Marco、Takagi Junichi、Lavstsen Thomas、Horii Toshihiro、Arase Hisashi
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Journal Title
Nature
Volume: 7683
Pages: 101-105
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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