2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the mechanism of paroxysmal coughing seen in pertussis
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17H04075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀口 安彦 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00183939)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 百日咳菌 / 発作性咳嗽 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
百日咳は百日咳菌感染による発作性咳嗽(咳発作)を主徴とする呼吸器感染症である。この咳発作は患者に多大な負荷をかけ、本症の重篤化の原因になっている。 本研究課題ではマウス感染モデルを用いて、百日咳菌による咳発症メカニズムの解明を目指す。 百日咳菌感染による、マウス発咳モデルを確立し、これを用いて百日咳菌の咳誘導因子の同定を目的として解析を進めた。マウスは生菌の感染のみならず菌体破砕液の鼻腔内投与によっても発咳することを研究実施中に発見した。このことにより、遺伝子欠損百日咳菌の感染のみならず、菌体成分を組み合わせることでも 発咳の解析が可能となった。その結果、以下の事項が明らかとなった。 咳誘発に関わる細菌成分を3種類を同定した。そのうち2種はタンパク質(AおよびB)で1種は非タンパク成分(C)であった。AあるいはCを欠損させた菌を感染さ せた場合、咳は全く起こらず、Bを欠損させた場合は咳の頻度が著しく低下した。それぞれの因子の基本的機能はこれまでに明らかにされているので、それらの特異的阻害剤を発咳モデルで併用した場合咳の回数が有意に低下した。さらにそれぞれの作用機序に関連する分子のノックアウトマウスを作製して発咳を調べたと ころ、いずれも発咳が消失あるいは著しく低下した。 以上の結果を総合して、C分子が発咳のトリガーとなり、発咳の著しい増幅と持続にはA因子が必要であり、B因子は修飾的に発咳を増幅することが判った。 さらに、A因子,B因子、C因子を百日咳菌から精製し、それぞれの組み合わせで動物実験に供したところ,それぞれ単独投与ではほとんど発咳がなく、A因子とC因子の組み合わせで中程度の発咳が見られ、ここにB因子を加えることにより,生菌感染あるいは菌体破砕液投与と同程度の発咳が見られた。この結果から,A-C因子が発咳因子であることが確定的となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の実施については順調に推移しているが、2018年6月に発生した地震のために全ての実験に必要な純水装置に破損を生じたために、一部の実験を延期し2019 年度に実施せざるを得ない状況となった。しかし、これまでの研究が予想以上に進捗していたため、全体計画としてはおおむね順調に進展していると判断でき る。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果により,百日咳菌の咳発作に関わる因子が同定できた。今後は、それぞれの因子の発咳に関わる役割の詳細を解析する。それぞれの因子が作用する局面は宿主内の異なる生体活動に関わることが予想されるため、それぞれのin vitroのモデル系,適切な遺伝子欠損動物の入手と作製を進め、3因子の発咳に関わる作用機序を解明する。
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Research Products
(10 results)