2018 Fiscal Year Annual Research Report
大規模比較ゲノム解析による腸管出血性大腸菌出現プロセスの解明
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17H04077
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小椋 義俊 九州大学, 医学研究院, 准教授 (40363585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 嶺 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (40756706)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / ゲノム / 志賀毒素 / 3型分泌装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までにシーケンスした400株のウシ由来株を加えて、今年度までに574株のウシ常在株、362株のヒト常在株、86株のSTEC/EPEC臨床分離株、111株のExPEC臨床分離株のゲノム情報を取得した。ウシ常在株の約半数は、志賀毒素(Stx)もしくは、3型分泌装置(LEE領域にコード)を保持している大腸菌である。一方、ヒト常在株は4株の例外を除いてすべてStxとLEEは陰性であった。計1,134株のうち、884株は、本研究により分離とゲノムシーケンスを行い、残りの250株については、公共データベースから配列情報のみを取得した。全株について、アセンブル、アノテーション、コア遺伝子の抽出を行い、コア遺伝子の配列多型を基にした高解像度系統樹を作成した。その結果、ウシ常在株とヒト常在株は大きく2つの系統群に分かれることがわかった。また、臨床由来ExPECの大部分がヒト由来系統に分類されたのに対し、臨床由来STEC/EPECの大部分がウシ由来系統に分類された。これらのことからSTEC/EPECは、ウシの常在株から進化してきたと考えられる。さらに、ウシ由来系統の株では、StxやLEEに加えて、3型分泌装置のエフェクターやプラスミド上の病原因子など、多くの病原因子が検出された。Stx陽性株、もしくはLEE陽性株に既知の病原遺伝子が蓄積する傾向が見られた。これらの病原因子は、StxもしくはLEEと機能的な関連が存在し、それが協調して働くことがウシ腸内での大腸菌の生存に有利になっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に進展しており、複数の学会発表を行った。また、これまでの成果を論文にまとめ、国際誌へ投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ウシ由来系統、ヒト由来系統に特異的な遺伝子の抽出を行う。また、LEE陽性株やStx陽性株に病原因子が蓄積していることを示唆する結果が得られている。既知の病原因子だけでなく、LEE陽性株やStx陽性株に有意に蓄積している遺伝子を抽出し、その詳細な解析を行う。また、ウシ常在菌へ病原因子が蓄積する理由やメカニズムについて、さらに掘り下げた解析を検討する。
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[Presentation] The population structure of enterohemorrhagic Escherichia coli O26:H11 with recent and repeated stx2 acquisition in multiple lineages2018
Author(s)
Yoshitoshi Ogura, Kazuko Seto, Shuji Yoshino, Junko Isobe, Yoshiki Etoh, Keiko Kimata, Eriko Maeda, Denis Pierard, Masahiro Kusumoto, Masato Akiba, Tadasuke Ooka, Nozomi Ishijima, Ken-ichi Lee, Sunao Iyoda, Jacques G. Mainil, and Tetsuya Hayashi
Organizer
10th international symposium on Shiga toxin producing Escherichia coli infections
Int'l Joint Research
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