2018 Fiscal Year Annual Research Report
顧みられない単純ヘルペスウイルス因子の統合的in vivo解析
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17H04080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 寧 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60292984)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ウイルス / HSV |
Outline of Annual Research Achievements |
単純ヘルペスウイルス(HSV: herpes simplex virus)は、80種を超える遺伝子をコードし、多彩な病態を引き起こすがその全容は未だ明らかになっていない。本研究では、培養細胞での増殖に必須ではないHSV因子に注目し、主にマウスHSV感染モデルを用いて詳細に解析することで、各HSV因子の機能を解明することを目的とする。これらHSV因子を統合的に理解することは、HSV病態発現機構の詳細を明らかにし、新たな治療法や予防法の確立へ寄与すると考えられる。 本年度は、HSVがコードする非必須遺伝子であるUL13およびUL51に関して解析を行った。具体的には、HSVがコードするプロテインキナーゼUL13のSer-18のリン酸化がUL13のPK活性制御およびマウス経膣接種後のウイルス増殖および病原性発現に寄与すること、また、HSVの粒子タンパク質であるUL51のSer-184のリン酸化が細胞種依存的にヌクレオカプシドの小胞媒介性核外輸送制御およびマウス角膜接種後の病原性発現に寄与することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
HSVはヒトに感染した後に潜伏感染と回帰発症を繰り返す。ウイルスにとって自身の増殖性の調節はこの過程を効率よく実施する上で非常に重要であると思われる。そのため、HSV因子の機能制御機構およびそれによる病原性制御機構を理解することはHSV感染症を制御するために必要不可欠である。今回、リン酸化による病原性制御機構の一旦を明らかにし、ウイルス学の代表的な国際学術誌であるJournal of Virologyにおいて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、HSVがコードする非必須因子の機能解析を進める。特に、非必須因子の制御機構について、HSV-1とHSV-2の間で保存性が高いリン酸化部位に着目し、どちらにおいても病原性発現に寄与する重要なリン酸化の同定を試みる。また、HSV-1とHSV-2での保存性が異なるリン酸化部位にも着目し、HSV-1とHSV-2の病原性発現の違いに寄与するリン酸化の同定も試みる。
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Research Products
(10 results)