2018 Fiscal Year Annual Research Report
Search for uremia suppressive therapeutics based on investigation on role of sulfate-conjugated uremic solutes in development and pregoression of kidney injury
Project/Area Number |
17H04104
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
齋藤 秀之 熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (40225727)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城野 博史 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (40515483)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 腎障害 / 慢性腎臓病 / 尿毒症物質 / 硫酸転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
Sult1a1欠損マウスにおいて,シスプラチン投与に伴う血清及び腎組織中インドキシル硫酸(IS)蓄積が対照マウスに比較して顕著に低減すること,それに伴い腎機能および腎組織内酸化ストレスの蓄積が抑制され,組織障害も軽減されることが判明した.さらに,シスプラチンを投与したSult1a1欠損マウスに,ISを追加投与することにより腎組織中の酸化ストレス蓄積が亢進し,組織病変並びに機能障害が増強(再現)されることを確認した.Sult1a1欠損マウスにおいて,IS蓄積の減少に伴い,インドキシルグルクロナイドの産生が亢進することが観察され,ISの産生(硫酸抱合活性)が抑制された肝内環境においてはグルクロン酸抱合反応が代替的に亢進していることが判明した.肝組織におけるSultアイソフォームのmRNA発現量を比較精査した結果,対照マウス肝においてSult1a1はシスプラチン投与に伴い発現亢進が認められたが,Sult1a1欠損マウス肝組織では発現亢進は観察されなかった.シスプラチン誘発急性腎障害時のIS蓄積上昇の要因として肝Sult1a1の発現亢進が関与すること,シスプラチンによる直接的もしくは尿細管障害を介した二次的影響により肝Sult1a1を誘導する可能性が推察された. 腎虚血再灌流処置をしたSult1a1欠損マウスでは,IS追加投与により血清および腎組織中IS蓄積の顕著な亢進が認められた.さらに,腎虚血再灌流処置をしたSult1a1欠損マウスでは,IS追加投与に伴いBUNおよび血清クレアチニンの上昇が観察され,急性期腎障害進展にISが増悪因子として関与していることが判明した.また,虚血再灌流誘発急性腎障害に伴い腎線維化関連因子の遺伝子発現の増加が観察され,この現象にISが活性化因子として関与していること,急性腎障害後の線維化形成過程においてISが増幅的に寄与している可能性が示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの検討により、硫酸転移酵素Sult1a1が硫酸抱合型尿毒症物質の蓄積に伴う腎組織障害の病態進展、並びに付随する尿毒症の治療標的として有用である可能性が示唆された.Sult1a1遺伝子欠損マウスにおいて、シスプラチン投与に伴う血清及び腎組織中インドキシル硫酸(IS)の蓄積量が対照マウスに比較して顕著に低減すること、それに伴い腎機能および腎組織内酸化ストレスの蓄積が抑制され、腎組織病変も顕著に軽減されることを確認した.シスプラチンを投与したSult1a1遺伝子欠損マウスにISを追加投与することにより、腎組織中の酸化ストレス亢進とともに腎機能障害が再現されることを確認した.さらに、腎組織内IS蓄積量に関連してキサンチンオキシダーゼの発現が亢進することが判明し、IS誘因性の酸化ストレス発生に本酵素が密接に関与していることが示唆された.Sult1a1遺伝子欠損マウスにおいて、IS蓄積の減少に伴い,インドキシルグルクロン酸抱合体の産生が代償的に亢進していることを確認した.腎虚血再灌流処置をしたSult1a1遺伝子欠損マウスにおいて,ISが腎障害増悪因子として関与していることを確認した.
|
Strategy for Future Research Activity |
1.硫酸抱合型尿毒素合成阻害薬物のin vitroスクリーニング・リード薬物探索 1)既に確立したインドキシル硫酸産生系を用いたin vitroスクリーニング法を活用し、共同研究提携企業が保有する化合物ライブラリから定性的・定量的にSult1a1阻害活性を示す化合物を探索し、シーズとなる候補薬物の選定試験を展開する。本スクリーニング系は、肝臓より遠沈・分離によりS9画分を精製した後、インドール添加による尿毒素の代謝・産生活性を定量測定する反応系である。β-NADPH(還元型ピリジンヌクレオチド)やPAPS(ホスホアデノシンホスホ硫酸)の添加条件等の設定は確立済みである。インドキシル硫酸と同時に、CYP2E1/CYP2A6により産生されるインドキシル、インドキシルグルクロン酸抱合体(インドキシルのエスケープ抱合体)についても定量測定する。尿毒素濃度は現有設備のLC-MS/MSを用いて定量解析する。尿毒素の検出・測定条件等については既に確立済みであり、予試験試料の測定は現在も実施している。 2.腎疾患患者試料(血液、尿検体)における尿毒症物質の定量解析と合併症との相関解析 熊本大学病院・血液浄化療法部との連携・協力により、透析患者、慢性腎臓病患者並びに外科的手術に付随する虚血性急性腎障害患者の試料を用い、インドキシル硫酸の定量分析を実施する。心血管系イベントの血中予測バイオマーカーとして高感度C-reactive Proteinについて測定する。患者個別の循環血液中の尿毒素蓄積量と腎機能障害および心血管系イベントのバイオマーカーとの相関について臨床情報を集積・解析し、心腎連関”の介在因子としての尿毒素の臨床的位置づけについて検証する。
|
Research Products
(2 results)
-
[Journal Article] Doxycycline attenuates cisplatin-induced acute kidney injury through pleiotropic effects.2018
Author(s)
Nakagawa T, Kakizoe Y, Iwata Y, Miyasato Y, Mizumoto T, Adachi M, Izumi Y, Kuwabara T, Suenaga N, Narita Y, Jono H, Saito H, Kitamura K, Mukoyama M.
-
Journal Title
Am J Physiol Renal Physiol.
Volume: 315
Pages: F1347-F1357
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-