2018 Fiscal Year Annual Research Report
傷害一次感覚ニューロンのコネクトーム解析による脊髄後角疼痛伝達異常の解明
Project/Area Number |
17H04113
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
野口 光一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10212127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 博樹 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20340995)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 脊髄後角 / シナプス可塑性 / 細胞間接着 / プロテアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経障害後の難治性疼痛を示すモデル動物において、神経損傷後の脊髄で損傷を受けた一次感覚ニューロンがどのように二次ニューロンやグリア細胞など他細胞との連絡性(コネクトビリティー)を変化させているかを解明する。本研究では、具体的には1)損傷一次求心性線維と脊髄後角ニューロンの接着様式の変化を解析することで、異常な脊髄後角における Aberrant neurotransmission (異常神経伝達機序)の分子基盤の証明を行う。特に細胞接着因子と異常varicosity との関係、及びこれらの変化をもたらす分子(プロテアーゼに着目して)を解明する。2)一次感覚ニューロンのコネクトビリティーに影響を与えている、グリア細胞活性化以降の疼痛メカニズムの関与、の2点を明らかにする。 30年度に行った研究の実績は、末梢神経損傷による脊髄後角の興奮性シナプスの空間的再配分の確定が主な課題であった。Varicosity の神経伝達の場としての、無髄の損傷一次求心性線維上への興奮性の入力増加の検討、及び損傷一次求心性線維と脊髄後角ニューロンの接着の変化の解析はほぼ終了している。併せて、一次求心性線維の障害後の異常サーキットを定量する目的で、脊髄ニューロン上のシナプスの局在を検討し定量化を行った。末梢神経損傷後もシナプス終末の数(synaptophysin 陽性数)の変化が無い事から推測される、二次ニューロン上のシナプス数の減少と一次求心性線維の軸索上のvaricosityでのシナプス数の増加が証明できたので、これを定量化し論文にて発表するためのデータを完成することが出来た。つまり可視化情報を元にシナプスの「ポイントスイッチ」が損傷一次求心性線維終末に起きていることを、判りやすく記述した論文を完成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
30年度前半に実験室の引越に伴う実験の停止期間があったが、その後順調に研究を再開することが出来ている。上に記述したように、ほぼ脊髄後角の細胞間接着因子などの神経可塑的なダイナミックな変化を3次元的に捉え、それを定量化することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
データは95%完成し、論文を完成させる段階となっている。今後は、英文一流雑誌への投稿を目指して、執筆活動と投稿後の再実験が中心となる。
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Research Products
(9 results)