2018 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイム画像誘導追尾放射線治療のための新X線動態断層撮影システムの開発
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17H04117
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本間 経康 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30282023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 良尋 一般財団法人脳神経疾患研究所, 南東北BNCT研究センター, センター長 (50107653)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線治療において、肺腫瘍などの移動や変形等を伴う対象動態を追跡し、それを追尾して連続照射する技術によりduty cycle増大、局所制御率向上と副作用低減の実現が期待されている。本年度は、そのための必須要素技術である、腫瘍動態の画像計測法と位置変動予測法の性能改善を行い、その確度と精度を評価・検証した。具体的な成果は以下の通りである。
1.追跡用部分断層の確率的再構成法の実装と性能評価:従来のX線透視撮影を用いて、腫瘍追跡に特化した部分断層を、確率的な移動体モデルで同定することで高速に再構成する新たな手法を実装した。これにより、提案手法の有用性を示すとともに、さらなる高速化を進め、実時間追跡の可能性を示した。 2.複数計測信号の融合による画像追跡性能の可能性検証:X線透視において、追跡対象の腫瘍が視認しにくい症例に対し、その周辺に存在する比較的視認が容易な複数領域の計測結果を融合することで、腫瘍追跡性能の向上を試みた。対象のみの計測よりも性能向上が可能である症例も存在したが、同時にその性能向上には限界があることも明らかにした。これは、本研究の部分断層法の必要性を示唆するとともに、その補完的役割を期待できる成果である。 3.動態に対する照射線量評価:画像追跡に基づき呼吸同期照射や連続追尾照射を行う際の線量評価シミュレータを提案した。従来の治療計画では照射対象の静止を前提として、あるいは静止体に動態変化に起因する静的なマージンを付加して線量評価を行うのに対し、提案シミュレータは動態を直接考慮する方式のため、より正確な線量評価を可能にするものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画のうち、性能評価用の臨床データ取得は行わなかった。これは、現段階ではファントムと過年度の臨床データで十分なためであり、次年度は必要に応じて取得可能である。一方、部分断層再構成のプロトタイプ実装と性能評価は順調であり、特許出願を完了し、現在国際特許の準備を進めている。また、複数計測信号の融合など、視認困難な症例に対する多角的な検討を進め、さらには動態に対するより正確な照射線量評価を可能にするシミュレータを提案した。これらは予想以上の進展である。以上を総合して,概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
部分断層再構成のプロトタイプ実装は完了しており、今後性能改善を進める。とくに次年度はさらなる高速化を達成し、ソフトウェア実装による実時間処理を可能にする計画である。また、国内特許は出願済のため、学会発表や論文投稿などの成果発表を行い、現在準備中の国際特許も出願する予定である。さらに、提案している予測型追尾照射技術との融合により、実時間予測型画像誘導追尾照射制御システムの開発を試みる。
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Research Products
(10 results)