2017 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎に対する抗ウイルス治療後の予後に関する分析疫学研究
Project/Area Number |
17H04124
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大藤 さとこ 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (70433290)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 若葉 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (70420734)
近藤 亨子 大阪市立大学, 医学部・附属病院運営本部, 技術職員 (80420727)
伊藤 一弥 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (90768136)
久保 正二 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (80221224)
田守 昭博 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30291595)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | C型肝炎 / SVR / 予後 / 疫学 / 肝臓学 |
Outline of Annual Research Achievements |
【具体的内容】 本研究の目的は、C型肝炎ウイルスの除去(SVR)が得られた患者を対象に、①生活習慣の実態を把握し、②患者の予後に関連する因子を検討することである。平成29年度は、この目的を達成するために、2005年時点で本学医学部附属病院・肝胆膵内科外来に通院していたC型慢性肝疾患患者の既存コーホート(509人)から「抗ウイルス治療によりSVRが得られた患者」を抽出して「肝硬変への進展や肝細胞がんの発症」に関する追跡調査を行った(前向きコーホート研究)。 1.対象者の特性:抗ウイルス治療によりSVRが得られた患者は179人、男性は63人(35%)、SVR時の年齢は中央値64.9歳(範囲:27.6~88.3歳)、SVRに至った治療はIFN 101人(56%)、DAAs(direct acting antivirals)78人(44%)であった。 2.追跡期間中、肝硬変への進展を26人(15%)、肝細胞がんの発症を2人(1%)、死亡を4人(2%)に認めた。死因は、肝疾患関連1人、他疾患(胃がん、外傷、膵がん)3人であった。SVR時の年齢が高齢、SVRに至った治療がDAAs、SVR前の治療薬がウルソ内服、SNMC治療、2005年時点でAST高値、ALT高値、γGTP高値、UA高値、Fe高値、フェリチン高値の者は追跡期間中の肝硬変・肝細胞がん・肝疾患関連死亡が多かった。 【意義、重要性等】 近年の抗ウイルス剤により、C型慢性肝疾患患者の90%以上でSVRが得られるようになったが、本研究の結果、SVR後の追跡期間中に肝硬変・肝細胞がん・肝疾患関連死亡を発症する者が存在することが明らかとなった。なお、上記の関連因子は単変量解析により得られたものである。今後、多変量解析により肝疾患進展に関連する因子を明らかにするとともに、後ろ向きコーホート研究の手法による調査を実施し、結果の頑健性を確認する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に実施予定であった前向きコーホート研究による調査は、追跡調査票の作成、倫理審査の承認、病院診療録の検索、データ入力、データ解析の各過程において順調に進めることができた。また、多変量解析に付すことが可能なSVR患者および追跡期間中に結果指標を呈した者が一定数得られたことから、十分な検出力が期待できる。次年度以降に多変量解析に着手する準備を十分に整えることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度は、2005年時点で本学医学部附属病院・肝胆膵内科外来に通院していたC型慢性肝疾患患者の既存コーホート(509人)から「抗ウイルス治療によりSVRが得られた患者」を抽出して「肝硬変への進展や肝細胞がんの発症」に関する追跡調査を行った(前向きコーホート研究)。また、追跡期間中に肝疾患の進展を認めた者の割合を検討するとともに、単変量解析により肝疾患進展に関連する因子を検討した。 そこで、平成30年度以降には、多変量解析に着手し、SVR患者における肝疾患進展に関連する因子について明らかにする。また、これと並行して、現時点で本学医学部附属病院・肝胆膵内科および肝胆膵外科外来に通院しているSVR患者を対象に、後ろ向きコーホート研究を行ない、「現時点での肝硬変、肝細胞がん」に対する「過去の生活習慣」の影響を検討する。 前向きコーホート研究および後ろ向きコーホート研究といった異なる研究デザインにより同内容を検討することで、SVR患者における肝硬変・肝細胞がんのリスク因子・予防因子について、堅固な結果を提示できるよう進めていく予定である。
|
Research Products
(1 results)
-
[Journal Article] Stagnation of histopathological improvement is a predictor of hepatocellular carcinoma development after hepatitis C virus eradication.2018
Author(s)
Motoyama H, Tamori A, Kubo S, Uchida-Kobayashi S, Takemura S, Tanaka S, Ohfuji S, Teranishi Y, Kozuka R, Kawamura E, Hagihara A, Morikawa H, Enomoto M, Murakami Y, Kawada N.
-
Journal Title
PLoS One.
Volume: 13
Pages: e0194163
DOI
Peer Reviewed / Open Access