2017 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝および環境要因の共分散構造モデルに基づく発達障害発症および重症化機序の解明
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17H04137
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
吉益 光一 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40382337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津野 香奈美 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30713309)
龍田 希 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40547709)
竹村 重輝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70511559)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発達障害 / 母親の精神状態 / 保育士のストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は交付申請書にも記したように、5歳時点でのコホートの維持が困難な状況となったため、環境研究総合推進費(5-1451)で実施した3歳6ヶ月のコホートを継続した。しかし要配慮個人情報の管理の問題から、母親に対する精神科構造化面接も難しくなったため、代替手段として、成人自閉症評価尺度AQを用いた。 平成30年3月末までの母親347名、幼児339名のデータを用いて解析を行った結果、母親自身の精神疾患および自閉症傾向とADHD傾向の間には有意な相関が認められた。また、母親の精神疾患および自閉傾向と、子どものADHD傾向の間には、有意ではないが正の関連性が認められた。さらに母親のADHD傾向と子どものADHD傾向の間にも統計学的に有意に近い正の関連性が認められた。 一方、これと並行して進めていた当該地域の保育士のストレス調査であるが、予備のWEB調査で十分な回答率が得られなかったので、研究分担者の協力の下、紙媒体を使ってやり直すことになり、一部の平成29年度科研費を繰り越した。結果、回答率は約50%であったが、WEBで実施した際の20%未満よりも大幅に向上し、宮城県内において、1349人の保育士から回答を得ることができた。結果、保育士の疲弊感や離職意識などのストレス要因は、都市部の保育園で非都市部よりも高いことが判明したため、本研究の最終目的である共分散構造分析を行う際に、保育園の所在地域を加味した変数を追加することが妥当と認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5歳でのコホートが維持できず、父親に関する精神疾患の情報が得られなかったことは、予期外であったが、母親については自閉症尺度も利用できたし、保育士のストレス調査に関しては、予想以上にほぼ完璧な結果が得られたので、全体としては概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に追加で収集した子どもの発達障害に関するデータと、東北大の研究協力者から提供される環境化学物質のデータを結合し、最終的な目的である共分散構造分析のためのデータセットの構築と最終解析を行う。 また、母親と保育士の子どもの問題行動評価の乖離について、画像解析を用いた詳細な検証を行う。
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