2018 Fiscal Year Annual Research Report
Association of acute care with DALY or QALY in patients with stroke
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17H04143
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鴨打 正浩 九州大学, 医学研究院, 教授 (80346783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 治久 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30572119)
松尾 龍 九州大学, 医学研究院, 助教 (60744589)
北園 孝成 九州大学, 医学研究院, 教授 (70284487)
馬場園 明 九州大学, 医学研究院, 教授 (90228685)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳卒中 / ADL / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中前向き登録研究を通じて、脳梗塞患者の機能予後に影響を及ぼす因子について検討した。これまでの研究の延長として、血糖とそのコントロール状態が脳梗塞患者の機能予後、日常生活動作にどのような影響を及ぼしうるかについて解析した。すでに脳梗塞発症前血糖コントロール状況が発症後の機能予後に影響を与える可能性を報告しているが、今年度はインスリン分泌、インスリン抵抗性に焦点を当て、これらが脳梗塞発症後経過や機能予後にどのような影響を及ぼしうるかについて検討した。インスリン抵抗性はHomeostatic Model Assessment Insulin Resistance(HOMA-IR)により評価した。その結果、HOMA-IRは脳梗塞発症後の機能予後不良と関連しており、インスリン抵抗性が脳虚血後の回復を阻害している可能性が示唆された。 また、原因が明らかでない原因不明脳梗塞患者(cryptogenic stroke)の実態を調査した。塞栓源が不明な脳塞栓(Embolic Stroke of Undetermined Source:ESUS)において、潜在性の塞栓源に関する網羅的な調査を行った。その結果、ESUS患者において、塞栓源となりうる種々の原因が潜在している可能性が示された。また、潜在性塞栓源と機能予後の関連性について検討した結果、潜在性塞栓源が独立して予後に関連している可能性が示された。現在はESUS患者において長期の脳卒中再発を予防するための至適抗血栓治療について検討を続けている。 脳卒中患者において機能予後の低下に関連する因子の存在は、長期的なQOL低下の原因となる可能性があり、さらなる検討を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
福岡県内の脳卒中診療基幹7病院において入院治療を受けられた発症7日以内の急性期脳卒中患者の登録を継続している。2018年3月末までに急性期脳卒中患者16,493人から同意を取得し、うち16,149人の診療情報の入力を完了した。研究趣旨をご理解いただき同意をいただいた脳卒中患者の割合は89%であり、高い同意取得率が維持できている。また、退院後も89%の患者にご協力をいただき、予後の調査が継続できている。 データベースのクリーニングを行いデータの精度を上げ、変数相互の未知の関係性について精緻に検討できる体制を整備している。また、同意取得した患者における入院中診療情報を電子的に抽出し、診療行為、画像情報についても解析可能な体制を整備している。さらに、退院時にEQ-5D-5Lを用いたQOLの調査を開始した。現在、国際共同多施設研究に向けて準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
脳卒中発症後長期に及ぶADLの推移について調査を行い、脳卒中が生涯にわたって日常生活動作、生活の質に及ぼす影響を明らかにする。また、QOLを実際に調査しADLと比較することで、modified Rankin scaleにより評価したADLと、EQ-5D-5Lを用いて評価したQOLの関係性を明らかにする。 年齢の重み付け(一定またはage-weighting function)、障害の重み付け、時間依存性の変化を勘案した上で障害、QALY、DALYを評価し、脳卒中による疾病負荷を明らかにする。また、これらの疾病不可の患者背景による相違について検討を行う。 脳卒中急性期治療、診療行為の詳細については、DPC情報、レセプト情報を用いて、包括的に時系列情報も含めてデータベース化を行う。これらの因子とQALY、DALYの関連性について機械学習手法等を用いて網羅的な解析を行う。特にストラクチャー、プロセスの面から診療の質に注目して、それらが脳卒中患者の長期にわたる生命予後、機能予後、およびQALY、DALYに及ぼす影響を検討する。
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