2019 Fiscal Year Annual Research Report
Intervention study and economic analysis of polypharmacy
Project/Area Number |
17H04145
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
濃沼 信夫 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (60134095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 俊輔 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (20400244)
尾形 倫明 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (60633675)
渡辺 善照 東北医科薬科大学, 薬学部, 特任教授 (70175131)
伊藤 道哉 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (70221083)
佐藤 信 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (70282134)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポリファーマシー / 薬剤有害事象 / 医療経済 / 転倒リスク / 服薬アドヒアランス |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリファーマシー(多剤投薬)はアドヒアランス低下や誤服用、有害事象や薬剤依存を招きやすいとされる。しかし、投薬数を減らすことの効果については十分なエビデンスが得られていない。そこで、減薬で患者の病態や安全がどう変化するかを検討した。すなわち、地域の中核病院2施設で、6種類以上の薬剤を内服する患者のうち、Scottの判断基準に基づき2種類以上の減薬が行われた患者を対象に自記式調査を実施した。調査内容はQOL(EQ-5D)、転倒リスク(FRI-21)、眠気(JESS)、服薬状況などである。また、診療録から傷病名、治療経過、投与・減薬された薬剤名等の情報を収集した。 調査の結果、病院全入院患者の9カ月間の持参薬は平均6.7種類、6種類以上の患者の割合は54.4%であった。データが得られた35例(平均75.4歳、男性48.6%、女性51.4%)を解析すると、減薬前後でQOLスコアの平均は0.738から0.821に、健康状態は72.0から80.6に、転倒リスクは9.1から7.8に改善した(p=0.048)。一方、眠気は3.5から4.0とやや悪化した。減薬前後で便秘は45%から17%に、頭痛は30%から20%に改善した。6種類以上の服薬期間は中央値64.5か月(5年強)、6種類以上の薬を飲むのが気になる患者は64%であった。 投与されること多く、減薬が多かった薬剤は、血圧降下剤、インドメタシンなどの循環器官用薬、フラボキサートなどの泌尿生殖器官用薬、催眠鎮静剤・抗不安剤、解熱鎮痛消炎剤、精神神経用剤、利尿剤、糖尿病用剤、フェキソフェナジンなどのアレルギー用薬である。減薬の割合が高かった薬剤は、健胃消化剤、鎮けい剤、鎮暈剤、肝臓疾患用剤、循環器官用薬、精神神経用剤、ドンペリドンなどの消化器官用薬である。ポリファーマシーの改善は患者のQOL改善と医療安全の確保につながることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査対象病院は急性期型の病院であり、複数の疾患を有し重症度の比較的高い高齢患者が多いため、担当医により減薬の判断がなされ、自記式調査を依頼できる患者は必ずしも多くはない。すなわち、Scottの判断基準に基づいて薬剤ごとに投与の中止が可能かどうか検討されたものの、2種類を減薬することは困難と判断された症例が少なくない。また、減薬が行われても、認知症の合併や意識レベルの低下により、自記式調査の回答が得られにくい患者も少なくない。こうした事情から、調査の対象数は当初の予定よりも少ない状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリファーマシーに係る患者調査に関し、これまでの実施上の問題点を改善しながら、調査対象病院を拡大して入院、外来患者に対する前向き研究を継続する。また、減薬前後の薬剤名、各指標の変化、患者の病態の変化を含む、これまで得られたデータの解析を行う。さらに、ポリファーマシーの医療経済について検討する。すなわち、ポリファーマシーによる患者および医療財政の損失額について、システムモデルを用いて算定するとともに、ポリファーマシーが改善された場合の経済的な利得(損失額の減少)を、改善率を可変とする算定式を用いて推計する。
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Research Products
(12 results)