2017 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学的形質に基づいた肝発癌モデルの樹立と個別化免疫療法の確立
Project/Area Number |
17H04160
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
巽 智秀 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20397699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 尚宏 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10623275)
阪森 亮太郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10644685)
疋田 隼人 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20623044)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肝がん / ドライバー遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肝癌の多様な遺伝学的形質をバイオマーカーとした肝癌個別化免疫療法の実現を目的とする。この為、まず各種ドライバー遺伝子変異を有し遺伝学的背景の均一な肝発癌マウスモデルを作製し、肝癌の免疫学的解析を通じて、各種ドライバー遺伝子変異が免疫調節分子やネオアンチゲン産性、免疫細胞動態に与える影響を検討する。本年度はまず遺伝学的背景の均一な肝発がんモデルとして、C57BL6/Jに対するSTAMモデル(Takakura K et al., Anticancer Res 2014)を用いて検討を開始した。STAMモデルは、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)から肝発癌を発症するマウスモデルであり、生後2日での200μg streptozotocinの皮下注射に続いて、4週齢から高脂肪食(32%脂肪)投与を継続した。その結果、STAMモデルにより8週齢においてNASHによる肝線維化を認め、約20週齢において多発肝腫瘍形成が生じることを確認した。また、がん遺伝子のcDNAを有するトランスポゾンベクターを尾静脈からの急速静注法により肝内で持続発現させることで、肝発癌の誘導を行った。2種類のがん遺伝子の導入により、20週令で多発肝腫瘍形成を認めた。そこで、腫瘍部・非腫瘍部・正常肝よりMNCを単離し、Flowcytometryにて免疫細胞(CD4陽性T細胞、細胞傷害性T細胞、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、骨髄由来免疫抑制細胞MDSC)の割合の解析を行った。その結果、腫瘍部において、著明なCD4陽性T細胞並びに細胞傷害性T細胞の減少を認めた一方、非腫瘍部においてNKT細胞やMDSC細胞の増加を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の目標はまず各種ドライバー遺伝子変異を有し遺伝学的背景の均一な肝発癌マウスモデルを作製することであり、その作成に成功しているが、その系統数は未だ不充分である。ドライバー遺伝子の組み合わせ次第で、肝腫瘍形成が生じるまでの期間にばらつきがあり、想定よりも長期間の飼育が必要となる系統が存在していたことがその原因である。 肝発がんマウスモデルを用いた免疫解析も開始する計画となっていたが、条件設定に成功し、解析も行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
更に各種ドライバー遺伝子変異を有し遺伝学的背景の均一な肝発癌マウスモデルの系統数を増やし、其々での免疫解析を行っていく。また、興味深い免疫学的変化が生じた系統に関しては網羅的なトランスクリプトーム解析によりその原因を検討していく予定である。
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