2017 Fiscal Year Annual Research Report
Role of Micribiota and Metaborome in NAFLD
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17H04165
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中島 淳 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30326037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今城 健人 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (30600192)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は我が国を含め全世界的に患者数が著増してきている肝臓疾患で患者数が最多の疾患であり病態解明や治療法の開発は喫緊の課題である。NAFLDではエンドトキシンが病態進展に重要な働きをしていると考えられており、その機序は腸内細菌などの腸管内の異常、腸管透過性の異常などの腸管壁バリア機能の異常、臓器側、すなわち肝臓での過剰応答性、の3つが考えられている。我々はこれまでNAFLDでは肝臓でのエンドトキシンに対する過剰応答性がありその機序として肥満に伴い分泌が亢進するレプチンによるものであることを報告してきた(Imajo K et al. Cell Metab 2012)。腸内細菌の異常(Dysbiosis)は近年次世代シーケンサーの導入でその解析方法が急速に進歩した。NAFLD患者の糞便中の腸内細菌解析はいくつか報告があるが現時点で報告者により結果がまちまちでありコンセンサスが得られたとはいい難く、しかも病態解明に迫る知見は得られてない。その理由としては症例数が少ないことに加え腸内細菌の異常とNAFLDにおける異常病態との関連を加味した解析がなされてないこと、腸内細菌の代謝異常とNAFL病態との関連に迫る解析がされてないことなどが考えられる。以上のような背景で我々はNAFL病態における腸内細菌異常の役割を解明するために多数例の腸内細菌のメタゲノム解析、NAFLD病態異常との相関の解析、具体的には肝生検によって線維化のグレードの違い、患者血清のエンドトキシンレベルとの相関、患者の腸管透過性異常(腸管バリア異常)との相関などとの紐づけ、腸内細菌の異常のみならず患者糞便中の代謝異常の解析、具体的には糞便のメタボローム解析により腸内の代謝異常とNAFLD病態異常との関連、等の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備検討からNAFLD患者の病態進展とエンドトキシン、腸管透過性の亢進はFBの減少と強い相関を認めている。患者の腸管透過性が亢進すれば血清エンドトキシンの上昇、NAFLD病態の進展することは当たり前であるので解析のポイントはFBの減少と腸管透過性の亢進がどのような機序で起こるかに焦点を絞った。本解析はヒトでは困難であるのでマウスを用いた。高脂肪・高果糖・高コレステロール食を5か月負荷したマウスは腸管透過性の亢進、著明な脂肪肝と肝線維化を呈するNASHモデルである。このモデルに培養したFBを投与して腸管透過性の改善効果、さらには血清エンドトキシン低下効果、肝障害や肝線維化などの抑制効果があるかを解析した。腸管透過性はFITC標識デキストラン投与を行い血清FITCを蛍光分光度で定量して解析した。透過性が改善したので腸管壁のTight junction蛋白の解析、各種サイトカインの定量、抑制性T細胞関連の解析を遺伝子発現、蛋白発現、コンフォーカル顕微鏡やFACS解析を駆使して行った。
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Strategy for Future Research Activity |
モデルマウスではヒト疾患に類似した肝障害や腸管透過性亢進、高エンドトキシン血症を呈するが、このマウスに安定同位体である重水素で標識したコリン(Choline-d13 bromide-(N,N,N-trimethyl-d9,1,1,2,2-d4))を注射してその体内動態を解析する。 安定同位体標識コリンを用いればTMAやTMAOに変換されてもLC/MSで標識分子の変化を精密にトレース(標識由来の分子はピークが異なることで区別できる)でき、アイソトープではできない解析が可能となる。具体的には重水素標識コリンをマウスに注射後糞便を採取して腸管内に標識コリンが漏れ出てきているか、腸管内で血管由来のコリンから腸内細菌がTMAに変換しているかをLC/MSで検討する。次に注射した標識コリンが腸管内から再び血管内に入り肝臓にしかない酵素でTMAOに変換されたかどうかはマウスの血清サンプルのLC/MS解析で検証できる。血液中のコリンが腸管内に漏れ出て腸内細菌でTMAに変換され肝臓でTMAOになることが実証されればこれまでにない機序(=腸管内から血管内への移行ではなく、血管内から腸管内への物質の移行)という点で極めて新規性が高い知見となり、その学術的意義は大きい。
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[Journal Article] Clinical features and treatment of nonalcoholic fatty liver disease across the Asia Pacific region-the GO ASIA initiative2018
Author(s)
498.Chan WK, Treeprasertsuk S, Imajo K, Nakajima A, Seki Y, Kasama K, Kakizaki S, Fan JG, Song MJ, Yoon SK, Dan YY, Lesmana L, Ho KY, Goh KL, Wong VW
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Journal Title
Aliment Pharmacol Ther
Volume: 47
Pages: 816-825
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] CHARACTERISTICS OF FECAL MICROBIOTA IN JAPANESE PATIENTS WITH NONALCOHOLIC FATTY LIVER DISEASE: A CONNECTION AMONG GUT-PERMEABILITY, ENDOTOXIN AND NAFLD.2017
Author(s)
47.Takaomi Kessoku, Kento Imajo, Yasushi Honda, Takayuki Kato, Yuji Ogawa, Wataru Tomeno, Takuma Higurashi, Masato Yoneda, Masaki Shimakawa, Yoshiki Tanaka, Tomohiro Kawahara, Satoru Saito, Usuda Haruki, Koichiro Wada, Atsushi Nakajima
Organizer
AASLD
Int'l Joint Research