2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of global metabolic control mechanisms by microRNA-33a/b and development of specific regulatory strategy using artificial nucleic acid
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17H04177
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| Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾野 亘 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00359275)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 貴裕 京都大学, 医学研究科, 助教 (20565577)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | マイクロRNA / iPSC / 人工核酸 |
| Outline of Annual Research Achievements |
①miR-33a/bを改変したiPS細胞の解析 これまでに、miR-33aとmiR-33bは標的遺伝子に違いがあるとの報告があり、それぞれが別の作用を持っている可能性がある。CRISPR-Cas9システムを用いて、miR-33a/bのそれぞれ、あるいは両方が無いヒトiPS細胞を作成した。その結果、新たに遺伝性痙性対麻痺(Hereditary Spastic Paraplegia; HSP)SPG4の原因遺伝子であるSPASTがmiR-33の標的遺伝子であることが明らかとなった。実際にSPG4の患者より樹立されたiPS細胞から神経細胞を誘導し、合成RNAオリゴヌクレオチドでmiR-33aを抑制したところ、SPASTから作られるタンパク(SPASTIN)が増加し、SPG4による神経細胞軸索の短縮が改善した。すなわち、SPG4に対して、miR-33aを抑制する合成核酸が新たな疾患治療薬として用いられる可能性がある。 ②miR-33a/bコンディショナルKOマウスの表現型解析 miR-33aとmiR-33bのコピー数の解析においては、肝臓ではmiR-33bがmiR-33aの10倍程度発現しており、miR-33bの影響が大きいと考えられる。また、マクロファージではこれらは同等である。そこで、臓器別のmiR-33a/bの役割の違いについて、臓器特異的遺伝子改変マウスを作成した。miR-33aflox/floxおよびmiR-33bflox/floxノックインマウスとAlbumin-Creマウス、LysM-Creマウスの交配を開始し、現在その表現型を解析中である。 ③miR-33a/bによる個体レベルでの新たな恒常性維持機構の解析および④ miR-33a/b特異的人工核酸の生体での効果解析 AAVウイルスを用いた標的遺伝子の生体での解析を行い、人工核酸の投与による効果を検討中である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
①これまでに、miR-33aとmiR-33bは標的遺伝子に違いがあるとの報告があり、それぞれが別の作用を持っている可能性がある。CRISPR-Cas9システムを用いて、miR-33a/bのそれぞれ、あるいは両方が無いヒトiPS細胞を作成した。その結果、新たに遺伝性痙性対麻痺(Hereditary Spastic Paraplegia; HSP)SPG4の原因遺伝子であるSPASTがmiR-33の標的遺伝子であることが明らかとなった。実際にSPG4の患者より樹立されたiPS細胞から神経細胞を誘導し、合成RNAオリゴヌクレオチドでmiR-33aを抑制したところ、SPASTから作られるタンパク(SPASTIN)が増加し、SPG4による神経細胞軸索の短縮が改善した。すなわち、SPG4に対して、miR-33aを抑制する合成核酸が新たな疾患治療薬として用いられる可能性がある。上記内容についてすでに特許申請中である。 ②miR-33a/bコンディショナルKOマウスの表現型解析については正常食での臓器特異的KOマウスの解析がほぼ終了し、現在論文を作成中である。 ③miR-33a/bによる個体レベルでの新たな恒常性維持機構の解析については、個体レベルでの新たな恒常性維持機構の解析を行うために、ペンシルベニア大学から、AAVウイルスベクターを導入し、標的遺伝子の生体での解析を開始した。予定していたより、詳細な機能解析につなげることができると考えられる。 ④ miR-33a/b特異的人工核酸の生体での効果解析については、miR-33aおよびmiR-33bのそれぞれを個別に抑制できる人工核酸の効果を検討中である。すでに容量反応試験は完了している。さらに疾患モデルでの検討を続ける。
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| Strategy for Future Research Activity |
①miR-33a/bが司る、細胞、臓器、個体レベルの代謝調節機構の解明については、脂質ラフトの解析とラフトに存在する受容体の機能の変化を、miR-33a-/-およびmiR-33bノックインマウスの初代培養細胞、変異iPS細胞を用いて検討する。 ②miR-33aflox/floxマウス、miR-33bflox/floxノックインマウスを用いた臓器ごとの表現型解析については、それぞれの臓器特異的miR-33aおよびmiR-33b欠損マウスに高脂肪食負荷、高コレステロール負荷を行い、コントロールマウスと比較検討する。さらに脂肪組織においてもmiR-33bの発現は高く、特異的な作用を及ぼしている可能性がある。 ③miR-33a/bによる個体レベルでの新たな恒常性維持機構の解析については、さらにmiR-33aflox/floxマウスと各種-Creマウスを交配し、表現型を検討する。一方、miR-33bノックインマウスでは、欠損マウスと逆の表現型を呈するため、miR-33a/b欠損の表現型との比較に用いる。また、AAVウイルスベクターを用いて、miR-33a/b標的遺伝子の生体での役割の解析を行う。 ④miR-33a/b特異的人工核酸の生体での効果解析とドラッグデリバリーシステム(Drug delivery system; DDS)の検討については、病態モデルへの投与効果を検討するとともに、全身投与による副作用の有無について検討を行う。核酸の投与は、まず皮下注射によって全身投与し、その効果を検討する。その後に、必要なDDSについて検討を開始する。
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