2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of global metabolic control mechanisms by microRNA-33a/b and development of specific regulatory strategy using artificial nucleic acid
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17H04177
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| Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾野 亘 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00359275)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 貴裕 京都大学, 医学研究科, 助教 (20565577)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | マイクロRNA / iPS細胞 / 人工核酸 |
| Outline of Annual Research Achievements |
①miR-33a/bを改変した初代培養細胞、iPS細胞の解析については、これらの細胞をmiR-33の交感神経における標的遺伝子の検索に利用している。②miR-33a/bコンディショナルKOマウスの表現型解析については、miR-33bflox/floxノックインマウスに対して、Albumin-Creマウスを交配したところ、miR-33bが無いことで高脂肪食嗜好性が上昇した。肝臓内のコレステロールレベルの変化が高脂肪食嗜好性に与える影響につき、さらに神経ネットワークの点から検討を続けている。③miR-33a/bによる個体レベルでの新たな恒常性維持機構の解析については、DBH-CreとmiR-33aflox/floxマウスを交配したところ、全身のmiR-33a欠損マウスと同様に低体温刺激によって体温の低下が顕著で、褐色脂肪組織の脂肪分解が低下していた。さらにDBH-Cre*miR-33aflox/floxマウスにCre特異的にmiR-33の標的遺伝子のGabara4, Gabrb2, KCC2のsiRNAを発現させると、体温の低下が回復した。したがって、miR-33によるこれらの遺伝子の抑制が交感神経系の活性化、褐色脂肪組織の熱産生に関与していること示された。④ miR-33a/b特異的人工核酸の生体での効果解析については、NASHモデルについて人工核酸の投与による効果を検討中である。miR-33bノックインマウスに対して45%高脂肪食を8週齢から12週間負荷し、週1回人工核酸を皮下注射(PBS投与群、Control核酸投与群(20mg/kg)、anti-miR-33a投与群(20mg/kg)、anti-miR-33b投与群(20mg/kg)、anti-miR-33a(10mg/kg)+anti-miR-33b(10mg/kg)投与群の計5群)を行い詳細な解析を続けている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
①miR-33a/bを改変した初代培養細胞、iPS細胞の解析が、③のmiR-33a/bによる個体レベルでの新たな恒常性維持機構の解析において役立つなど、それぞれの研究計画が有機的に作用している。また、②miR-33a/bコンディショナルKOマウスの表現型解析については、miR-33bflox/floxノックインマウスに対して、Albumin-Creマウスを交配したところ、miR-33bが無いことで高脂肪食嗜好性が上昇した。このことは、肝臓内のコレステロールレベルが高脂肪食嗜好性に影響した可能性があり、新たな研究テーマの獲得に繋がった。③miR-33a/bによる個体レベルでの新たな恒常性維持機構の解析においても、高脂肪食負荷や寒冷刺激が交感神経系でのmiR-33の発現を上昇させ、これが直接Gabara4, Gabrb2, KCC2を抑制することでGABA受容体を介するシグナルの活性を抑制し、交感神経の活性化および熱産生を促すことを明解に示すことができた。現在論文をまとめているところである。④のmiR-33a/b特異的人工核酸の生体での効果解析も、予想された人工核酸の効果が認められている。miR-33bノックインマウスに対して45%高脂肪食を8週齢から12週間負荷し、PBS投与群、Control核酸投与群(20mg/kg)、anti-miR-33a投与群(20mg/kg)、anti-miR-33b投与群(20mg/kg)、anti-miR-33a(10mg/kg)+anti-miR-33b(10mg/kg)投与群の計5群(週1回皮下注射にて投与)において検討しているが、肝重量、肝重量/体重比の改善した群につき、さらに詳細な解析を続けている。さらに他のモデルにこの人工核酸を応用することも可能である。
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| Strategy for Future Research Activity |
①miR-33a/bを改変した初代培養細胞、iPS細胞の解析については、これらの細胞をmiR-33の各臓器の細胞における標的遺伝子の検索に利用する。②miR-33a/bコンディショナルKOマウスの表現型解析については、肝臓内のコレステロールレベルの変化が高脂肪食嗜好性に与える影響につき、さらに神経ネットワークの点から検討を続ける予定である。③miR-33a/bによる個体レベルでの新たな恒常性維持機構の解析については、論文作成を進める。また、中枢でのコレステロールの増減が他の病態モデルでも生じていないかについても実験を進める。④ miR-33a/b特異的人工核酸の生体での効果解析については、NASHモデルについて人工核酸の投与による効果の検討を続ける。miR-33bノックインマウスに対して45%高脂肪食を8週齢から12週間負荷し、PBS投与群、Control核酸投与群(20mg/kg)、anti-miR-33a投与群(20mg/kg)、anti-miR-33b投与群(20mg/kg)、anti-miR-33a(10mg/kg)+anti-miR-33b(10mg/kg)投与群の計5群(週1回皮下注射にて投与)にて検討しているが、肝重量の改善の認められた群についてさらに詳細な解析を行うとともに、投与量の変化による効果も検討する。また、⑤miR-33a/bのIn situ hybridizationのプローブの開発、⑥血中miRNAの高感度かつ迅速なアッセイキットの開発についても順次研究を進める。
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