2017 Fiscal Year Annual Research Report
気道疾患進行と睡眠障害合併時に対する統合的オミックス解析とバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
17H04182
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陳 和夫 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (90197640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 文彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (50212220)
田原 康玄 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00268749)
松本 久子 京都大学, 医学研究科, 講師 (60359809)
若村 智子 京都大学, 医学研究科, 教授 (40240452)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 睡眠呼吸障害 / 睡眠時無呼吸 / 気道疾患 / 高血圧 / 糖尿病 / バイオマーカー / オミックス解析 / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
「ながはま」コホート第2期参加者9,850名中、9,109人の同意を頂き、肺機能と同時にアクチグラフと睡眠日誌を併用しての客観的な睡眠時間測定、測定した客観的な睡眠時間にて補正した酸素飽和度計による睡眠呼吸障害(SDB)の有無と重症度、その他、生活習慣病のパラメータを取得した。9,109人中、7051人にて解析可能な資料を得た。7051人の地域住民の前向きコホートにおいて、中等症以上のSDBは男性23.6%、閉経後女性9.6%、閉経前女性1.5%に見られた。中等 /重症のSDBは高血圧には男性(Odd Ratio[OR] 3.2; 95%CI 2.3-4.4; P<0.001)、閉経前女性(OR 4.1; 95%CI 1.5-11.1; P=0.006)、閉経後女性(OR 2.0; 95%CI 1.5-2.7; P<0.001)でリスク増加に関連していたが、糖尿病には閉経前女性(OR 30.3; 95%CI 7.1-130.2 ; P<0.001)と閉経後女性(OR 3.4; 95%CI 2.0-5.7; P<0.001)のみ関連していた。短時間睡眠は高血圧や糖尿病には関連を認めなかった。媒介分析を用いた解析では、高血圧や糖尿病に対する肥満の影響はSDBにより間接的に媒介されており、性差が認められた(SDBの関与度、男性/女性; 25.6%/18.3%と15.2%/28.5%)。 一般人口に見られる治療対象となるSDBの頻度は高く、性差、閉経前後でその頻度は異なっていた。また、短時間睡眠ではなくSDBと肥満が高血圧や糖尿病に関連しており、性差や閉経前後で関連の程度は異なっていた。頻度は低いが、閉経前女性の中等度SDB合併者の高血圧、糖尿病頻度は高かった。本報告は米国の学会誌であるSLEEPに投稿され、アセプトされた。また、日本呼吸器学会、米国呼吸器学会でも発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺機能急速低下群に対する睡眠時無呼吸を中心とした睡眠呼吸障害、活動量の影響を調べることが本研究の目標の一つであるが、進行中のコホート第2期参加者9,850名中、9,109人の同意を頂き、肺機能と同時にアクチグラフと睡眠日誌を併用しての客観的な睡眠時間測定、測定した客観的な睡眠時間にて補正した酸素飽和度計による睡眠呼吸障害(SDB)の有無と重症度、その他、生活習慣病のパラメータを取得し、9,109人中、7051人にて解析可能な資料を得、すでにSDBと睡眠時間、高血圧、糖尿病の関連を性差、閉経前後を含めて米国学会誌に報告している点はおおむね予定通り資料を得て、成果を報告していると考えている。その他、本コホートにおいて、睡眠関連にて、さらに、数編の英語論文を発表した。さらに、もうひとつの大きな目標である気道疾患急速低下群の病因にせまるオミックス解析、特にメタボローム検体についての資料処理を分担研究者が中心となって確実に進めている。 また、継時変化を知るための前向き資料である、第3期コホート資料も昨年予定通り、約800名において睡眠諸指標とともに獲得しており、今年度も約2500名において獲得予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
I. 約7,200名の睡眠障害(短時間睡眠、睡眠時無呼吸の程度、睡眠分断)、身体活動量の客観的資料と5年間を経た健診資料から、肺機能急速低下、COPD悪化、難治性喘息と睡眠障害、身体活動量の関連を他の多くの健診資料とともに多角的に評価する。すなわち、気道疾患患者における睡眠障害の有無と頻度、身体活動量の程度を健常人と比較し、睡眠障害、身体活動量の程度がCOPD、気管支喘息難治化に対するリスク因子としての意義を確立する。 II. 平成30年度においても行われる長浜3期コホートにおいても健診資料を集積し、前向き資料の作成を行う。コホート1期、2期と同様の質問票、血液検査、尿検査、生理学的検査、眼科学的検査、歯科検診が行われた約1万人の健診者に対して携帯型加速度計(アクチグラフ)、酸素飽和度計、詳細な睡眠日誌を使用して、客観的な睡眠障害(睡眠時間、睡眠時無呼吸の程度、睡眠分断の程度)と身体活動量を測定する。 III. 各病態単独、各病態+睡眠障害例をそれぞれに統合的オミックス解析を行い、特にメタボライト:代謝産物から、睡眠障害合併、病態急速進行のバイオマーカーの探索を行う。肺機能の経年変化及び睡眠障害の関連をオミックス解析による病態生理の解明、肺機能強度低下群、睡眠障害の有無を判定するバイオマーカーの発見を試みる。すなわち、質量分析による網羅的オミックス解析とカタログ化を行い、第二期の情報との関連解析による肺機能急速低下、COPD、気管支喘息難治化のバイオマーカーの探索と同定を行う。また、気道疾患に睡眠障害(短時間睡眠、睡眠時無呼吸、睡眠分断)合併時のメタボロライト変化を重点的に解析して、睡眠障害合併のバイオマーカーの探索も行う。健常者、各病態単独、各病態+睡眠障害例をそれぞれに統合的オミックス解析を行い、特にメタボライトから、睡眠障害合併、病態急速進行のバイオマーカーの探索を行う。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Nocturia and increase in nocturnal blood pressure: The Nagahama study.2018
Author(s)
Matsumoto T, Tabara Y, Murase K, Setoh K, Kawaguchi T, Nagashima S, Kosugi S, Nakayama T, Wakamura T, Hirai T, , Matsuda F, Chin K, and the Nagahama study group.
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Journal Title
J Hypertens
Volume: in press
Pages: 未定
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Impact of sleep characteristics and obesity on diabetes and hypertension across genders and menopausal status; the Nagahama Study.2018
Author(s)
Matsumoto T, Murase K, Tabara Y, Gozal D, Smith D, Minami T, Tachikawa R, Tanizawa K, Oga T, Nagashima S, Wakamura T, Komenami N, Setoh K, Kawaguchi T, Tsutsumi T, Takahashi Y, Nakayama T, Hirai T, Matsuda F, Chin K.
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Journal Title
Sleep
Volume: in press
Pages: 未定
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Interactions Between Diabetes or Hypertension and Sleep Disordered Breathing, Objective Sleep Duration and Obesity: The Nagahama Study.2018
Author(s)
Matsumoto T, Murase K, Tabara Y, Gozal D, Smith D, Minami T, Tanizawa K, Oga T, Nagashima S, Wakamura T, Hirai T, Matsuda F, Chin K.
Organizer
American Thoracic Society International Conference 2018 で発表の予定
Int'l Joint Research
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[Presentation] Impact of sleep disordered breathing on diabetes based on presence or absence of family history of diabetes; The Nagahama Study2018
Author(s)
Minami T, Matsumoto T, Tanizawa K, Murase K, Takeyama H, Oga T, Nagashima S, Wakamura T, Hirai T, Tabara Y, Matsuda F, Chin K
Organizer
American Thoracic Society International Conference 2018 で発表の予定
Int'l Joint Research