2018 Fiscal Year Annual Research Report
新規免疫学的バイオマーカーを用いた画期的免疫チェックポイント阻害治療の開発
Project/Area Number |
17H04184
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
各務 博 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30418686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 弘一 自治医科大学, 医学部, 教授 (00240705)
石田 博徳 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70274587)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害薬 / CD4 T細胞エフェクター / 制御性T細胞 / T細胞免疫モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
新規免疫学的バイオマーカーを用いた画期的免疫チェックポイント阻害薬治療の開発を行う本研究では、当初以下の研究計画を立てていた。 1. CD4 Teff/Treg ratioをバイオマーカーとした非小細胞肺癌に対するNivolumab2次治療・第Ⅱ相臨床試験の実施。2. PD-1/PD-L1免疫チェックポイント阻害薬有効例のPBMC CD4 Teff/Treg ratioを経時的に観測するコホート研究の実施。3. 末梢血CD4 Teff cell, CD8 Teff cellをクローニングし、抗腫瘍効果に直結する特異的エフェクターCD4 T細胞が認識するneo-antigenを明らかとするためのバイオバンクを構築する。4. 末梢血CD4 Teff cellと腫瘍内浸潤CD4 T cellが同じneo-antigenを認識するものであることをTCRレパトア解析を用いて明らかとする。 1.については、平成29年度に既治療非小細胞肺癌を対象としたニボルマブ第Ⅱ相臨床試験を実施した。平成30年度には、PBMC解析と臨床情報を統計学的に解析した。この結果、多施設前向き研究に於いても良好なPBMC検体を用いることで、CD4 Teff/Tregは抗PD-1抗体奏効のバイオマーカーとなりうることを明らかにした。この結果は、2019 ESMOにて発表予定。2.については、約1年の経過観察を行うことで、CD4 Teffの減少が獲得耐性に繋がることが明らかとなった。長期奏効を得る肺がん患者では、治療前からCD4 Teffが有意に多く、長期生存バイオマーカーと成り得ることを明らかとした。この結果は、特許出願している。3.については、手術前後のearly stage検体、根治的化学放射線治療前後の局所進行肺癌症例検体、EGFR-TKIなどの従来治療前後の検体などの蓄積が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたPBMCバイオマーカーを用いた第二相臨床試験の統計学的解析を終了することができ、国際学会発表を待つ状態に至っている。 免疫チェックポイント阻害薬長期奏効・生存のバイオマーカーとしての意義を明らかにすることができている。CyTOFを用いた解析を加えることで、CD4 Teffとして本研究で用いているCD62Llow CD4+ T細胞は、メラノーマ局所に浸潤し抗腫瘍効果を担っていることが報告されている、CD27- T-bet+ CD62Llow CD4+ T細胞をほぼ正確に示していることが明らかになった。 放射線治療によりCD4 Teffが誘導され良好な免疫状態に変化させることが可能であることを証明できている(特許出願中)。 本研究の手法により、EGFR-TKI, 手術、細胞障害性抗がん剤などの免疫学的影響を解析できることを明らかにできている。stageI~IVの肺がん患者末梢血検体を良好なクオリティで凍結保存できている(総数2000検体以上)。 irAEとCD4 Teff数の関係について明らかとできている。
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Strategy for Future Research Activity |
18色FCM機器を用いたT細胞サブセット解析に加え、mass cytometry(最大40色)での解析が可能となっている。今後は、T細胞間関連解析と臨床効果因果解析など数理学的解析を加えることで、抗腫瘍免疫を表現する指数化を目指す。 また、リン酸化アレイを用いたT細胞サブセット毎のシグナル解析、RNAseq解析、メチローム解析による分化評価などを加えることで、免疫を形作るSystem Immunityとしての解析を進める。 新たな課題として、分子標的治療薬効果における抗腫瘍免疫の役割を明らかにすることを目指している。
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Research Products
(12 results)