2018 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstructive analysis of molecular regulation in epithelial stem cell and its niche in the lung
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17H04185
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森本 充 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (70544344)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺細胞 / オルガノイド / 幹細胞 / 神経内分泌細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、気道上皮の組織幹細胞ーニッチ複合領域”NEB”の形成原理と、維持のための分子制御機構の解明を目指す。我々はこれまでに気道上皮のNEBの発生過程を研究してきた。特に中核である神経内分泌細胞(NE細胞)の数と分布の制御について詳細を明らかにし、論文を発表してきた。最近、高解像度のライブイメージングを用いて、胎児のNE細胞が異所で分化した後、自らNEB形成領域へ遊走することを発見した。本研究ではNE細胞の走化性の分子実態と、NE細胞がニッチ細胞として幹細胞を維持する分子メカニズムの解明に挑戦する。研究成果をヒト呼吸器の幹細胞ーニッチの理解に役立てるため、NEBをヒトiPS細胞から分化誘導によって再構成し、ヒト気道上皮幹細胞を制御するメカニズムの再構成論的理解に挑む。 本年度は、昨年度に引き続き、1細胞トランスクリプトーム解析からNE細胞の走化性に関わる因子の探索から始めた。走化性を刺激する誘引因子を選別したのち、マウス胎児肺からNE細胞を単離し、培養皿上でNE細胞の走化性への影響を検証しようとした。いくつかの培養皿表面コートを試した結果、ラミニンコートによってNE細胞が張り付くことがわかり、培養条件を確立できた。 ヒトiPS細胞からNE細胞を分化誘導するために、iPS細胞の培養系も立ち上げた。基本的な培養系と、継代培養中の未分化能を検定するマーカーを指標にしたqRT-PCRおよびFACSの検定実験系を確立した。さらに、未分化なiPS細胞から内胚葉、および前腸の誘導実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NE細胞の培養に適切な培養皿のコート材の検討に時間がかかったが、 最終的にラミニンコートが有効であることがわかった。RET-EGFPマウスの繁殖力が落ちたため、RET-EGFPマウスが安定して供給され、採集したEGFP発現NE細胞の培養条件を確立するために4ヶ月を有した。 これらの対応に追われていたため、ヒトiPS細胞の導入が2ヶ月遅れた。また、NE細胞の培養条件の検討とヒトiPS細胞の導入が重なったため、導入が1ヶ月余計にかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遅延は取り戻すことができたので、当初の研究計画通り、1細胞トランスクリプトーム解析で同定された因子のNE細胞の走化性への貢献をin vitroで検証する。また、胎児肺を培養しながら候補因子 のシグナル阻害剤を添加し、NE細胞のクラスター化への影響を検定する。有望な因子が同定できたら、NE細胞の動態を高解像度で検証するためマイクロ加工デバイスを使ったNE細胞の1次元遊走実験を行う。iPS細胞から誘導した気道上皮細胞を使って、気道オルガノイドを作成する。気道細胞の分化誘導中にNotchシグナル阻害剤を添加し、NE細胞の過剰誘導を行う。
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Research Products
(7 results)