2017 Fiscal Year Annual Research Report
Novel strategy for the development of therapeutics against autoimmune disease of the central nervous system, utilizing the crosstalk of cells forming blood-brain barrier.
Project/Area Number |
17H04197
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
神田 隆 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40204797)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / ペリサイト / 内皮細胞 / 低分子化合物 / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
血中に投与して血液脳関門構成ペリサイトを活性化する物質の同定を目的として、in vitroでの薬物スクリーニングを行った。脂溶性でBBBの通過能があると考えられ、提携する製薬企業がvivoレベルでの薬物動態などのデータを把握している低分子化合物を一次スクリーニング対象の候補物質とした。培養皿上に単層培養したヒトBBB由来ペリサイト不死化細胞株に候補物質を添加した培養液を投与し、上清を回収した。活性化の指標としてペリサイトが出す複数の栄養因子(BDNF,GDNF, VEGF, bFGF)をターゲットとし、それぞれのELISA法での定量システムの確立を試みた。このうち、BDNF,VEGFは二種類のELISAキットを用いて測定し、共に再現性がある結果であったが、VEGFはいずれの候補物質に対しても有意な上昇を示さず、ペリサイト活性化の指標としてはBDNFを用いることとした。培養上清中のBDNF量をpositive controlであるハイドロコーチゾンよりも増加させる脂溶性低分子化合物が複数同定され、ペリサイト活性化を介する神経変性疾患治療薬の候補が得られた。この薬物スクリーニングは平成30年度もさらに継続する予定である。また、平成30年度以降にはin vitro BBBマルチモデルによるリアルタイムバリア機能モニタリングシステムを用いたBBBのバリア機能を変化させる候補化合物の同定プロジェクトが予定されている。新規にバリアー機能強化に関与し得る物質のスクリーニングと並行して、今回得られた候補物質のバリアー機能に対する効果も併せて検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペリサイトを活性化でき、しかもBBB通過能をもつ物質のスクリーニングという冒険的な課題であったが、初年度の実験で複数の候補物質が得られたのは極めて順調な経過であったといえる。また、BDNF定量に関して安定したアッセイシステムが確立できたのも初年度の重要な成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の実験で得られた複数の候補物質はペリサイトからの神経栄養因子(BDNF)の放出という要件を満たしているのみである。第2年度以降は、内皮細胞、ペリサイト、アストロサイトの3細胞からなる新規ヒトBBB in vitro modelを用いて、1)実際にこの候補物質がBBB構成内皮細胞を通過して内皮細胞の裏に存在するBBB構成ペリサイトに効果を及ぼし得るか、2)候補物質の添加によってペリサイトから放出されたBDNFは脳実質側への効果を持ちうるか、の2点の検証をまず行う。また、この研究の最終目標は実際に臨床で使用し得る薬物の同定であり、中途の検証で多くの候補物質が脱落する可能性が極めて高いため、可能な限り多数の候補物質をノミネートする必要がある。初年度にスタートしたスクリーニング実験は継続して行う。また、安定したアッセイ系が確立すればGDNF、bFGFなどを標的としたスクリーニングも併せて行う。 候補物質の蓄積と並行して、第2の実験系である流速負荷dymnamic in vitro BBB modelを用いた内皮細胞/ペリサイト共培養系での単核細胞血管浸潤に対する候補物質の効果の検証を行う。単核細胞のchamber下室への浸潤を抑制できた物質が、自己免疫性中枢神経炎症性疾患の新規治療薬剤の候補となる。
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[Journal Article] Glucose-regulated protein 78 autoantibody associates with blood-brain barrier disruption in neuromyelitis optica.2017
Author(s)
Fumitaka Shimizu, Kritin L. Schaller, Gregory P. Owens, Anne C. Cotleur, Debra Kellner, Yukio Takeshita, Birgit Obermeier, Thomas J. Kryzer, Yasuteru Sano, Takashi Kanda, Vanda A. Lennon, Richard M. Ransohoff, Jeffrey L. Bennett
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Journal Title
SciTransl Med
Volume: 9
Pages: 49-53
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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