2017 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of the germline-derived GNAS gain-of-function mutations and clarification of the novel mechanism leading to GNAS loss-of-function
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17H04204
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
緒方 勤 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40169173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深見 真紀 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 部長 (40265872)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | GNAS / 抗利尿不適合性腎症候群 / 機能亢進 / 偽性副甲状腺機能低下症 / 機能低下 |
Outline of Annual Research Achievements |
GNAS coding exons 1-13は、Gタンパク質共役型受容体の細胞内シグナル伝達を介在するGsalphaタンパクをコードし、腎集合管を含む多くの組織では両親性発現を示すが、腎近位尿細管などではA/B-DMR(メチル化可変領域)の制御により母性発現を示す。 本研究の目的は、(1) われわれが常染色体優性の抗利尿不適合性腎症候群を呈する2家系で同定した新規GNAS変異が、世界初の機能亢進型生殖細胞変異であることを示すこと、(2) われわれが常染色体優性の偽性副甲状腺機能低下症を示す2家系で同定した過去に報告の無いGNAS-STX16領域のゲノム構造異常やレトロトランスポゾン挿入が、A/B-DMR単独のエピ変異を発症する機序を解明することである。これにより、ヒト疾患発症におけるGNASの多様な役割を明らかにすると共に、新規ヒト遺伝性疾患の確立ならびに新規ヒト疾患発症機序の解明を目指す。 平成29年度、抗利尿不適合性腎症候群発症では、この発症に直結するAVP受容体であるAVPR2を用いた解析を終了し、予想通り、p.Phe68_Gly70delとp.Met255Val変異が軽度機能亢進作用を有することを見出した。また、p.Phe68_Gly70delを導入したモデルマウスを作出し、このマウスが患者と同様、腎からの自由水排泄障害を呈することを見出した。また、新規GNAS機能低下発症機序の解明では、挿入されたSVA型レトロトランスポゾンがNEP55にexonizationされることでA/B-DMRの低メチル化を招くと推測されることから、mRNAを採取する目的で患者および対象から皮膚線維芽細胞を樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度における進捗状況は以下の通りである。 [研究項目1]世界初の機能亢進型GNAS生殖細胞変異の実証。われわれは、抗利尿不適合性腎症候群を有する家系1と2で全エクソーム解析を行い、家系1でGsalpha p.Phe68_Gly70delを、家系2でGsalpha p.Met255Val変異を同定した。このデータは、この変異が世界初の機能亢進型GNAS生殖細胞変異であることで説明される。またAVP受容体が機能亢進型変異に最も鋭敏なGタンパク質共役型受容体であることを示唆する。われわれは、まず変異タンパク構造解析を行い、これらの変異タンパクが機能亢進として作用しうることを明らかとした。次いで、抗利尿不適合性腎症候群発症に直結するAVP受容体であるAVPR2を用いたルシフェラーゼ活性によるin vitro機能解析を終了し、予想通り、p.Phe68_Gly70delとp.Met255Val変異が軽度機能亢進作用を有することを見出した。さらに、この機能亢進の程度がMcCune-Albright症候群を生じるGNAS体細胞変異のそれよりも低いことを明らかとし、これにより何故GNAS生殖細胞由来変異を有する個体が生存可能であるかを明らかとした。さらに、われわれはp.Phe68_Gly70delを導入したモデルマウスを作出し、このマウスが患者と同様、腎からの自由水排泄障害を呈することを見出した。 [研究項目2]新規GNAS機能低下発症機序の解明。われわれは、挿入されたSVA型レトロトランスポゾンがNEP55にexonizationされることでA/B-DMRの低メチル化を招くと推測される家系において、mRNAを用いた解析を可能とするため、同意をのもとに患者および対象から皮膚線維芽細胞を樹立した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度における研究計画は以下の通りである。 [研究項目1]世界初の機能亢進型GNAS生殖細胞変異の実証。抗利尿不適合性腎症候群を有する罹患患者において、軽微な甲状腺機能亢進症状が認められたことから、その発症に直結するTSH受容体であるTSHRを用いた機能解析をルシフェラーゼ法を用いて行う。また、平成29年度に作出したp.Phe68_Gly70delモデルマウスにたいし水分負荷試験などを行い、この機能を詳細に解析する。さらに、現在進行中であるp.Met255Val変異を導入したモデルマウスを作出し、モデルマウスが患者と同じ症状を呈するか否かを解析する。 [研究項目2]新規GNAS機能低下発症機序の解明。われわれは、70家系以上のPHP-Ia/PHP-Ib家系の解析から、STX16やNESP55の欠失が認められないにもかかわらずA/B-DMR単独のエピ変異を呈するAD-PHP-Ibの2家系(家系3および家系4)を同定している。そして、家系3ではSTX16とA/B-DMRの物理的距離の増加が、家系4では挿入されたSVA型レトロトランスポゾンがNEP55にexonizationされることでA/B-DMRの低メチル化を招くと推測される。本年度は、GNAS領域にランダムなゲノム断片を挿入し、STX16とA/B-DMRの物理的距離の増加が及ぼす影響について解析する。また、SVA型レトロトランスポゾンがNEP55にexonizationされるか否かを平成29年度に樹立した皮膚線維芽細胞を用いて検討する。
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Research Products
(20 results)