2018 Fiscal Year Annual Research Report
家族内発症例の遺伝的要因の同定を基盤とした骨髄増殖性腫瘍発症機序の解明
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17H04211
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小松 則夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (50186798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 総司 順天堂大学, 医学部, 助教 (10635866)
荒木 真理人 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80613843)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨髄増殖性腫瘍 / 家族性骨髄増殖性腫瘍 / ドライバー遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィラデルフィア染色体陰性の骨髄増殖性腫瘍(MPN)は、造血幹細胞に体細胞変異が生じ、血液細胞が異常に増える血液疾患である。MPN患者は、QOLの著しい低下を招く脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高く、時に、急性白血病へと病型移行する。現在のところ、リスクを伴う造血幹細胞移植以外には根本的な治療法が無く、発症メカニズムの解明による有効な治療戦略の確立が求められている。そこで本研究では、骨髄増殖性腫瘍(MPN)多発家系の発症原因であるプレ因子を同定し、健常者のiPS細胞にゲノム編集技術を用いてプレ因子やドライバー遺伝子を導入した際に、血液前駆細胞の増殖能や分化能の違いを明らかすることで、MPN発症メカニズムを解明し、将来的なMPNの早期診断や新規治療法の開発を目指している。平成30年度は、平成29年度に樹立した家族性MPN患者のiPS細胞株およびその元となっている患者末梢血から得られたゲノムDNAについて、次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子変異解析を行い、MPNにおいて高頻度に見出されるエピジェネティックな変化やスプライシングに関わる遺伝子変異が存在しないことを明らかにした。さらに、アッセイのコントロールとして必要な、ドライバー変異陽性の健常者由来のiPS細胞株を作出するために、JAK2V617F変異をゲノム編集技術により導入し、JAK2V617Fホモ型、ヘテロ型を有するiPS細胞株を樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに家族性MPN患者由来のiPS細胞株の樹立について成功し、さらにその解析も計画通り行っている。家族性MPN患者における「プレ因子」の同定は現在行っている途中であるが、ドライバー遺伝子変異をゲノム編集技術を用いて健常者から樹立したiPS細胞に導入することに成功しており、今後、「プレ因子」の同定の後には同様にゲノム編集を速やかに行うことが可能である。以上のことから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、家族性MPN患者由来のiPS細胞株の樹立に成功し、このiPS細胞株にゲノム編集技術を用いて、標的因子を導入することが可能であることを示せていることから、2019年度以降は、家族性MPN患者のゲノム解析で候補として挙げられているプレ因子を導入して、血球前駆細胞に誘導し、その表現型を比較することで、発症因子の検証を行う予定である。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Skewed megakaryopoiesis in human induced pluripotent stem cell-derived haematopoietic progenitor cells harbouring calreticulin mutations.2018
Author(s)
Takei H, Edahiro Y, Mano S, Masubuchi N, Mizukami Y, Imai M, Morishita S, Misawa K, Ochiai T, Tsuneda S, Endo H, Nakamura S, Eto K, Ohsaka A, Araki M, Komatsu N.
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Journal Title
Br J Haematol.
Volume: 181
Pages: 791-802
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The 2014 BCSH criteria and the 2016 WHO criteria for essential thrombocythemia: A comparison in a large-scale cohort.2018
Author(s)
Ochiai T, Yasuda H, Araki M, Misawa K, Morishita S, Nudejima M, Hironaka Y, Shirane S, Edahiro Y, Gotoh A, Ohsaka A, Komatsu N.
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Journal Title
Eur J Haematol.
Volume: 100
Pages: 544-549
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Multiple Placental Infarcts in a Pregnant Woman with Essential Thrombocythemia.2018
Author(s)
Edahiro Y, Ando J, Suzuki T, Fukumura Y, Masuda A, Sakayori S, Takeda J, Maruyama Y, Makino S, Itakura A, Komatsu N.
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Journal Title
Internal Medicine.
Volume: 57
Pages: 3647-3650
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Boarding on the secretary pathway is required for the oncogenic property of mutant calreticulin.2018
Author(s)
Araki M, Masubuchi N, Hayashi E, Yang Y, Imai M, Kihara Y, Mizukami Y, Hironaka Y, Edahiro Y, Ohsaka A, Komatsu N.
Organizer
23rd Congress of the European Hematology Association
Int'l Joint Research
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[Presentation] 細胞減少療法はPMF患者における腎機能の悪化を防止する.2018
Author(s)
福田泰隆, 荒木真理人, 山本紘司, 森下総司, 稲野資明, 三澤恭平, 落合友則, 枝廣陽子, 今井美沙, 後藤明彦, 大坂顯通, 小松則夫.
Organizer
第80回日本血液学会学術集会
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[Presentation] 変異型 CALRの多量体化は MPLとの結合と活性化に必須である.2018
Author(s)
荒木真理人, 楊印杰, 今井美沙, 水上喜久, 木原慶彦, 角南義孝, 増渕菜弥, 枝廣陽子, 弘中由美, 大佐賀智, 大坂顯通, 小松則夫.
Organizer
第80回日本血液学会学術集会
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[Presentation] トリプルネガティブ本態性血小板血症症例の臨床像と遺伝子変異.2018
Author(s)
稲野資明, 荒木真理人, 福田泰隆, 森下総司, 落合友則, 三澤恭平, 伊藤雅文, 山本紘司, 楊印杰, 田口鉄平, 枝廣陽子, 今井美沙, 後藤明彦, 大坂顯通, 小松則夫.
Organizer
第80回日本血液学会学術集会
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