2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H04218
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
三宅 幸子 順天堂大学, 医学部, 教授 (50266045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 麻子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40532726)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸管免疫 / 腸内細菌 / 自己免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫疾患の発症と進展には遺伝的要因に加え環境要因が重要である。私達は環境要因の一つとして腸内環境に注目し、これまで腸管に存在する自己反応性T細胞は病態制御性の性質を持つことを見出すとともに、多発性硬化症(MS)の患者の腸内細菌解析を行い、健常人とは有意に頻度の差がある菌を同定した。本年度は、先行研究で見出した健常人と比較してMSで有意に変化する菌について、これまでの分離菌と100%遺伝子配列が同一、かつ入手可能な菌株を入手し培養を行った。MSで増加した菌の混合液投与は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の病態に影響を与えなかった。また、MSで低下していたBacteroidetesに属する菌3種混合液の投与を行ったが、EAEの病態に影響がなかった。一方、MSの症例数を増加させた検討で、Eubacterium rectale, Megamonas funiformisは健常人との有意差が確認された。今後はこの2種の菌を中心に、免疫細胞に与える影響ならびに自己免疫モデルに与える影響を検討していく。 MAIT細胞のリガンドについては、MAIT細胞を特異的に活性化ないしは抑制するリガンドを合成することに成功した。 抑制性リガンドについては、in vitroでMAIT細胞特異的なT細胞受容体を発現したJurkat細胞の活性化を抑制した。in vivoで投与を行うと、MAIT細胞の活性化リガンド投与でみられるMAIT細胞の活性化を抑制することが確認できた。今後は全身性エリテマトーデス・関節炎・炎症性腸炎モデルなど、これまでヒト疾患でMAIT細胞に変化がみられ、MAIT細胞欠損マウスで病態が軽症化することが確認された疾患モデルについて、MAIT細胞の抑制リガンドのin vivo投与を行い、病態への影響を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究で候補となった菌の入手・培養を行い、EAEに対する影響を検討するなど計画は概ね順調に進行している。MAIT細胞のリガンドについては、in vivoでMAIT細胞を抑制するリガンドの投与を行い、MAIT細胞の活性化を抑制することを確認した。現在、自己免疫疾患モデルに投与を行っており、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
MSの症例数を増加させた検討で、Eubacterium rectale, Megamonas funiformisは有意差を確認されたため、この2種の菌について腸管ならびに脾臓、リンパ節における制御性T細胞・自然リンパ球を含む免疫細胞の数、サイトカイン産生能を検討する。また、自己免疫性脳脊髄炎や関節炎モデルに投与を行い、自己免疫病態に与える影響について検討する。MAIT細胞を特異的に抑制するリカンドについては、in vivoでのMAIT細胞の抑制効果を確認できたので、全身性エリテマトーデス・関節炎・炎症性腸炎モデルなどにin vivo投与を行い、病態への影響を検討する。さらに、新たなリガンド合成ならびに新規の天然リガンド探索をひき続き行う。
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