2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mechanism underlying intrinsic atopic dermatitis induced by deficiency of sprabasin co-expressed in skin and intestine
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17H04241
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
戸倉 新樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00172156)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 皮膚免疫 / 炎症学 / アレルギー / 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
スプラバシン(SBSN)ノックアウトマウスにおけるSBSN発現を検討した。SBSNノックアウトマウスでは低発現あるいは無発現であることが、確認された。皮膚のバリア機能は、SBSNノックアウトマウスでは胎生14.5日に背部の皮膚で損なわれていた。しかし出生後からは、経表皮水分蒸散量(TEWL)、ルシフェラーゼ透過性ともに、WTマウスと同程度であった。皮膚バリア障害は胎生期のみにしか認められないことを示した。またOVA蛋白質を皮膚に密封塗布する方法でも、OVAの経皮透過はSBSNノックアウトマウスで増強しておらず、OVA特異的IgEあるいはIgG1抗体の値はWTマウスと変わらなかった。以上の結果は、通常の外因性アトピー性皮膚炎にみられるバリア障害は、SBSNノックアウトマウスでは軽微であり、蛋白質抗原ではなく金属やハプテンなどの分子にしか反応しないことが示唆された。 SBSNノックアウトマウスでは上部消化管でのSBSN発現が低下しているために、この部分で吸収されるニッケルを負荷し、血中のニッケル濃度が上昇するか検討した。マウスに100 ppmのニッケルを含む飲水を14日間与え、0日目、7日目、14日目に採血し血中ニッケル濃度を測定した。SBSNノックアウトマウスはWTマウスに比べ、血中のニッケル濃度が7日目で顕著に上昇し、14日目では有意に高値となった。したがってSBSNノックアウトマウスは恐らく上部消化管での金属吸収が亢進している。さらに血中のニッケル濃度が亢進したSBSNノックアウトマウスに対し、ニッケルの感作と惹起を行ったところ、SBSNノックアウトマウスにおいて有意に強いニッケル接触過敏症を認めた。ニッケルに対する接触皮膚炎が強くなる機序についてニッケル経口負荷したSBSNノックアウトマウスで感作T細胞の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の解析をすでに滞りなく行っており、順調に推移している。 1)SBSNノックアウトの樹立、2)SBSNノックアウトマウスでのSBSN発現の解析、3)胎児でのトルイジンブルー吸収阻害による皮膚バリアの評価、4)経表皮水分蒸散量、ルシフェラーゼ透過性、OVA蛋白質を密封塗布による特異抗体産生性の評価、5)ニッケル経口負荷によるニッケルの消化管吸収と血中濃度、6)ニッケル経口負荷したSBSNノックアウトマウスでのニッケル感作による感作T細胞の出現
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Strategy for Future Research Activity |
ニッケル経口負荷マウスにニッケル感作を行った場合、口腔免疫寛容の破綻が起こっていることが推察されるがこのメカニズムの解明を完遂したい。ニッケルを経口投与すると制御性T細胞(Treg) が誘導されて免疫寛容状態となり、ニッケルに対する接触過敏症が減弱することが知られている(Wu X, et al: Int Immunol 19: 965, 2007; Roelofs-Haarhuis K, et al: J Immunol 15; 173: 2004)。この経口免疫寛容は金属の量に依存して誘導されるという。SBSNノックアウトマウスでは上部消化管のスプラバシン欠如により、金属の吸収に異常が生じていると考えられ、実際に血中のニッケル濃度も高い。そこでSBSNノックアウトマウスにおいて、ニッケルの経口投与による免疫寛容が正常に誘導されるか、あるいは破綻しているかを調べる。塩化ニッケルを含む飲水をSBSNノックアウトマウスと野生型マウスに4週間与え、1週間後に前述の方法にて接触過敏症を誘導し、通常の飲水を与えたマウスと反応性を比較する。また、SBSNノックアウトマウスにおいてTregが誘導されるか否かを調べるために、塩化ニッケルを含む飲水を与えたSBSNノックアウトマウスおよび野生型マウスの脾臓からT細胞を分離し、野生型マウスに移入する。レシピエントマウスに接触過敏症を誘導し、反応性の低下によりTregの存在を評価する。またin vitroの実験系においてニッケル反応性T細胞の産生するサイトカインが、インターフェロンγ、IL-4、IL-17のどれであるかを検討する。
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Remarks |
浜松医科大学医学部皮膚科学講座ホームページ http://www2.hama-med.ac.jp/w1b/derm/index.html
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Research Products
(11 results)