2017 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病におけるαシヌクレインを標的とする核医学イメージングプローブの開発
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17H04260
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 正博 京都大学, 薬学研究科, 教授 (80336180)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | αシヌクレイン / パーキンソン病 / イメージング / プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)は,中脳黒質のドパミン神経細胞の減少を主因とする神経変性疾患である.このドパミン神経細胞死には、αシヌクレイン(α-syn)タンパク質凝集体を主成分とする神経細胞内封入体であるレビー小体の関与が指摘されている。本研究の目的は,PD患者脳内に沈着したα-syn凝集体に特異的結合性を示す核医学分子イメージングプローブを開発し,それを用いてα-syn凝集体を体外から非侵襲的に定量イメージングする方法を構築することである。今年度は、プローブの分子長がα-synへの親和性に影響を与えることに注目し、α-synへの結合性が報告されているベンゾイミダゾール骨格を母核とし、メチン鎖を導入することで分子長を伸長させた新規ベンゾイミダゾール(BI)誘導体を設計・合成し、そのα-synイメージングプローブとしての有用性を評価した。In vitroにおいて、α-synおよびAβ凝集体の存在下で、BI誘導体の蛍光強度は上昇したことから、この蛍光上昇作用を利用したα-synおよびAβ凝集体に対するin vitro結合飽和実験を行った。その結果、BI-2はBI-1に比べα-syn凝集体への高い選択的結合性を示した。PD患者脳切片を用いた蛍光染色実験において、BI-2は切片上に蓄積したレビー小体に対して結合性を示した。さらに、125I標識BI誘導体を用いたin vitro結合実験においても、BI誘導体のα-syn凝集体に対する結合性が認められた。正常マウスを用いた体内放射能分布実験において、BI誘導体の脳移行性は低く、滞留傾向を示した。今後、この成果を基盤にして、さらにα-synへの選択的結合性および脳移行性の向上を図る必要性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定通り、αシヌクレインへ選択的結合性を有する候補化合物の設計・合成、インビトロおよびインビボ評価実験を行い、αシヌクレイン選択的結合性を有する化合物を見出すことに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、昨年度見出した化合物よりも選択的結合性と脳移行性を向上した新規化合物の開発を行う。
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Research Products
(3 results)