2017 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞における低酸素応答機構と抗酸化機構の相互作用: 放射線抵抗性の理解と克服
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17H04261
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 浩 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (80362531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 稔 京都大学, 放射線生物研究センター, 特定研究員 (40644894)
子安 翔 京都大学, 放射線生物研究センター, 研究員 (80781913)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん / 低酸素応答 / 抗酸化能 / 放射線抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
HIF-1を活性化する新規遺伝子ネットワークに着目し、糖代謝経路のリプログラミングが抗酸化物質の産生を介して放射線抵抗性を誘導する可能性を検証した。まず初めに、HIF-1とその活性化因子の恒常活性化型変異体によってDNA損傷の発生頻度が低下するかを、DNA二重鎖切断検出用レポーター遺伝子(53BP1-EGFP発現ベクター)を用いて検証した。また、細胞の放射線抵抗性への影響を検証する目的で、Clonogenic Cell Survival Assayを実施した。これらの実験を実施した際、細胞内の解糖系律速酵素、ペントースリン酸回路構成因子、グルタミノリシス律速酵素などの発現をノックダウンする遺伝子操作を加え、放射線抵抗性の獲得における当該糖代謝経路の重要性を検証した。これにより、放射線抵抗性を克服する為に標的とすべき代謝パスウェイを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H30年度に予定していた研究内容にも、早々に着手しているため
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Strategy for Future Research Activity |
「新規HIF-1活性化因子依存的に発光・蛍光蛋白質を発現するレポーター遺伝子」、および申請者らが持つ「HIF-1依存的に発光・蛍光蛋白質を発現するレポーター遺伝子」を、がん細胞株のゲノムDNA状に安定に導入する。得られた細胞を免疫不全マウスに移植して固形腫瘍を準備し、放射線を局所照射する。移植腫瘍を対象に、IVIS Lumina II(PerkinElmer社製)やOV100システム(Olympus社製)による光イメージング実験を実施し、放射線抵抗性細胞群の腫瘍内局在と動態を時間・空間的に解析する。 「HIF-1および新規HIF-1活性化因子依存的にルシフェラーゼ発光を呈するレポーター遺伝子」と「HIF-1αの恒常活性化型ミュ ータント発現ベクター」をゲノム上に安定に組み込んだ細胞株を樹立し、HIF-1の活性化による発光量の増加を抑制する低分子化合物をスクリーニングする。得られた化合物の放射線増感作用を、53BP1-EGFP発現ベクターによる細胞イメ ージングとClonogenic Assayで検証し、新規放射線増感剤の候補化合物として開発する。
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