2017 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative evaluation of anatomical structures of the whole body using CT in a standing or sitting position: comp arison with CT in a supine position
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17H04266
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
陣崎 雅弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (80216259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 直道 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70324605)
名倉 武雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (90306746)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CT / 立位 / 座位 / 臥位 / 脳 / 肺容積 / 骨盤底筋群 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年5月に我々の開発した立位・座位CTが当院に導入され、検査を開始した。まず、物理評価を行い、空間分解能、ノイズコントラスト、スライス厚に関し、市販の臥位CTと同等であることを確認した。 続いて、正常対象者100例に対して立位・座位CTと通常の臥位CTで撮影を行い、撮影時間は20秒程度で、全例で静止状態を立位で保つことができ、姿勢補助具の安全性に問題がないことを確認した。また、立位・座位CTのほうが、検査室に入ってから退出までの時間が短く、workflowの観点から優れていることがわかった。 更に、様々な解剖構造の体位による変化を検討した。脳の構造は、小脳テントは動かないが、その他のほとんどの構造が立位では臥位に比べてわずかに動くことがわかった。MRを用いた研究では脳は体位による動かないとされており、大きなパラダイムシフトである。特に、水頭症、キアリー奇形、脳脊髄液減少症、頭位性頭痛などの病態を解明する上で、正常人も変位することがわかったことは重要である。肺は、臥位より立位・座位のほうが容積が大きく、呼吸機能との相関も立位や座位が臥位より良い相関を示すことがわかった。特に上葉、中葉、下葉ごとの容積変化率が異なることがわかり、今後その変化率を様々な肺疾患で検討するにあたっての基準値になる。骨盤底は、骨盤臓器と骨盤底筋との位置関係を検討したところ、正常人でも立位では臥位に比べて下垂があることがわかった。特に、男性よりも女性のほうが下垂することがわかった。今後、骨盤脱や尿失禁患者の病態を解明する上で、正常人の変位の基準値をより多くの症例で確定していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り機器の導入を行うことができた。そして、性能評価、安全性評価、姿勢補助具の有効性、workflowの改善を確認できた。更に、ボランティア研究を開始し、解剖学的構造の評価を順調に検討できるようになっている。電源不足という当院の事情のため、夕方・夜間しか検査を施行できないというハンディキャップを背負ったが、それでも解析は行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
更にボランティアの症例を蓄積していきながら、他の解剖学的構造を解析していく。具体的には以下の項目を考えている。 まずは、腰椎・骨盤の姿勢変化(特に矢状面における姿勢変化)を解析したい。仙腸関節および骨盤前傾、腰椎の過前彎がいずれも腰痛の原因として長く注目されているが、従来の立位X線では立位によるこれらの変化を詳細に解析することができなかった。続いて、股関節適合性および下肢アライメントの変化(特に前額面における変化)を検討する。立位・荷重において股関節適合性・下肢アライメントが変化することは知られている。従来の立位X線では、大腿骨・下腿骨・距骨・踵骨の前額面に対する回旋を伴う姿勢変化は評価することが不可能であった。立位におけるこれらの姿勢変化は、整形外科におけるメジャーサージェリーである人工股関節・人工膝関節の正確な手術のために必須の評価項目であり、術後成績を飛躍的に向上できるようになる。更に、頸椎および肩甲上腕関節適合性の変化も解析する。骨盤と同様、肩甲骨はX線で3次元位置を計測できない。肩甲骨の位置異常は、肩こりや五十肩などのcommon diseaseと密接な関係があることが知られている。立位における肩甲骨の3次元位置を計測できることは、これらの疾患評価・治療における重要な指標となる。 以上に加えて、顔面の皮膚の位置の変位を臥位と立位で比較し、加齢性変化を定量化する。容貌は皮膚・皮下構造物の加齢性変化だけでなく重力の影響も受けることが知られているが、立位CTを用いることで、初めてその両者を定量評価できる。重力下における容貌変化の3次元的解析は、アンチエイジングに対する科学的なアプローチとして貢献できる可能性がある。また、4次元画像の撮影を行い、歩行機能や膝屈伸機能の検討も行いたい。
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Research Products
(1 results)