2017 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on radiation induced bidirectional response between cancer and normal cells
Project/Area Number |
17H04268
|
Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
小西 輝昭 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線障害治療研究部, 主任研究員(定常) (70443067)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 翠華 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線障害治療研究部, 主任研究員(任非) (00512427)
及川 将一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 加速器工学部, 研究統括(定常) (10391301)
小林 亜利紗 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 加速器工学部, 技術員(任常) (30773931)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | バイスタンダー効果 / γH2AX / ギャップジャンクション / 窒素酸化物 / DNA二本鎖切断 / DNA修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞のみ(A549GFPとA549)、または、A549GFPとWI38正常細胞を共培養したがん・正常細胞試料を準備し、細胞集団中のがん細胞のみに照射することで、① 照射がん細胞のγH2AX 量とその消失の経時的変化を測定、② 照射がん細胞と接触・非接触(GJ有無)のバイスタンダー細胞におけるγH2AX量の経時的変化の測定を行った。また、cPTIO(NO捕獲剤)またはギャップジャンクション(GJ)阻害剤(AGA)を添加することで、両者を介した細胞間情報伝達の寄与を評価した。 その結果、がん・正常細胞試料において、がん細胞のみの試料に比べて、照射がん細胞のDSB修復は有意に早いという結果を得た。このDSB修復の促進は、GJ阻害剤によって遅くなることを確認した。つまり、このDSB修復の促進は、照射がん細胞とその近傍に存在する正常細胞とのGJ依存的であると言える。一方でがん・正常細胞において、NO捕獲剤を添加すると、がん細胞のみの試料に比べて、また、がん・正常細胞試料の添加なしの試料にくらべて、DSB修復は若干早い傾向を示した。これは、窒素酸化物生成によるDSB誘発からNO捕獲剤によって防護されたと考えられた。 また、照射がん細胞とGJを有するバイスタンダーWI38細胞にγH2AX量の増加を確認した。照射8時間後から有意に高く、24時間後までほぼ同程度を示した。この傾向は、GJを有しないバイスタンダー正常細胞、バイスタンダーがん細胞おいても同様であった。一方で、がん細胞のみの試料のバイスタンダーがん細胞では、照射8時間後にγH2AX量の最大を示し、24時間後には、非照射細胞(コントロール)と同程度まで減少した。これらの結果より、バイスタンダーがん細胞のγH2AXの増減は、周辺の正常細胞によっても修飾されること示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん細胞・正常細胞間における双方向シグナル伝達による照射がん細胞へのレスキュー効果ならびに、バイスタンダーがん・正常細胞へのバイスタンダー効果について、予定していたマイクロビーム照射実験を実施することができた。がん細胞・正常細胞間において、正常細胞が照射がん細胞のDNA二本鎖切断修復を促進するといったレスキュー効果については、Kobayashi A et al., Mutation Research, 2017にて論文発表を行った。また、このレスキュー効果は、がん細胞と正常細胞間のギャップジャンクションに依存的であるという内容で、国際学会にて発表を行い、また、現在論文投稿中である。 上記は、DNA二本鎖切断のマーカーであるγH2AXを指標にしており、細胞の終焉への影響として、細胞致死誘発について検討を始めている。マイクロビームを用いる照射実験において、生存率曲線を取得するには、細胞皿中の細胞すべてを照射し、回収し、そして播く必要があった。テクニカルな部分について、プロトコール化することができ、現在までに、A549-GFP細胞の核に500個の陽子線をマイクロビーム照射し、コロニー形成法により生存率を測定した。その結果、生存率10%程度を示した。 照射細胞からバイスタンダー細胞への一次バイスタンダー効果と、バイスタンダー細胞からあらたな非照射細胞への二次的なバイスタンダー効果についても検討を開始した。その結果、照射A549細胞から非照射A549細胞へ、さらには、非照射WI38細胞へとバイスタンダー効果が伝搬することを確認した。 最後に、A549細胞を親株とする誘導型NOSノックダウン株を作成し、培地介在性バイスタンダー効果として多数報告のある窒素酸化物由来の培地介在性バイスタンダー効果について研究を進める予定であったが、現在、安定的なノックダウン株の作成には至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、以下①と②を実施する。 ①がん細胞のみならびにがん・正常細胞の試料を準備し、細胞集団中のがんA549GFP細胞のみにマイクロビームを照射する。A549GFPのMNならびに生存率を取得し、周囲の非照射WI38による照射A549GFPの放射線感受性への影響を評価する。コロニー形成法による生存率曲線を取得する。照射粒子数は細胞核あたり100個から最大1000個までの範囲で5点の取得を目指す。同様に、微小核形成率のデータ取得方法についても検討を開始する。 ②照射がん細胞から非照射正常細胞または非照射がん細胞へと伝搬する1次バイスタンダー効果、さらに非照射正常細胞へと伝播する2次バイスタンダー効果についての検討を進める。照射方法は、細胞皿中の729か所を照射するマトリックス照射法を用いる。がん細胞への照射粒子数10個から最大1000個までの範囲において、1次・2次バイスタンダー効果の指標として微小核形成率を測定する。 実際の腫瘍部位を模擬すべく、酸化条件についても検討すすめる。照射およびその後の培養を低酸素下(酸素濃度2%以下)にて培養し、酸素下と同様に微小核形成を測定する。
|
Research Products
(10 results)
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Bystander WI-38 normal lung fibroblast cells modulate DNA double-strand break repair in microbeam-targeted A549 cells through gap junction intercellular communication2017
Author(s)
Alisa Kobayashi, Narongchai Autsavapromporn, Tengku Ahbrizal Farizal Tengku Ahmad, Masakazu Oikawa, Shino Homma-Takeda, Yoshiya Furusawa, Jun Wang, Teruaki Konishi
Organizer
MICROS 2017,INFN-Laboratori Nazionali di Legnaro, 2017, Nov 7th
Int'l Joint Research
-
-
-