2018 Fiscal Year Annual Research Report
Host and cancer genome analysis to understand lung adeno-carcinogenesis
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17H04298
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
河野 隆志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (80280783)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / 遺伝学 / トランスレーショナルリサーチ / 病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下三つのテーマについて研究を遂行した。 テーマA) 早期の肺腫瘍増大速度に影響する遺伝子の同定:肺腺腫を経て形成した肺腺がん手術検体のCT画像陰影径データを用い、継時的な腫瘍体積変動をグラフ化し、各例の腫瘍増大速度を算出した。また、摘出標本のKi67染色を行い、増殖細胞の割合を算出した。 Ki67染色割合は一般的な肺腺がんよりも低く、ゆっくりとした腫瘍増大を説明するものであった。この結果は、肺腺腫を経て形成した肺腺がんは、一般的な肺腺がんと比べて増殖が遅いことが示唆された。本結果は、腺腫を経て形成した肺腺がんは、一般的な肺腺がんと比べて増殖が遅いことを示すものである。 テーマB) 早期がん形成を担う変異シグネチャーの同定:上皮内がんとStageI-IIIA肺腺がんの解析の変異signatureの比較解析を行った。その結果、上皮内がんでは、一般肺腺がんでみられた変異シグネチャーが観察されたものの、喫煙に関連したシグネチャーが低頻度であり、非喫煙者肺がんで見られるシグネチャーの割合が高かった。上皮内がんでは、変異数が少ないことから正確な変異シグネチャーの推定が難しい。そのため、全ゲノムシークエンス解析の重要性が示唆された。 テーマC) 早期がん形成に関わるドライバー遺伝子、併発するがん関連遺伝子の同定:一般肺腺がんと上皮内がんの遺伝子変異の特徴を、解析症例を追加して比較した。その結果、上皮内がんでは、TP53等のがん関連遺伝子の変異割合が低いことが再確認された。これは、過去の上皮内がんの報告と合致するものであり、TP53遺伝子の失活はがん細胞の浸潤能の増大に寄与することが示唆された。一方、ドライバー遺伝子異常としては、EGFR遺伝子の活性化変異が肺発がんに中心的な役割を果たしていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに解析が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画のとおり、遂行する。
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