2017 Fiscal Year Annual Research Report
拡散・灌流・磁化率MRIの統合による多角的無侵襲脳循環代謝イメージング法の確立
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17H04304
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 真理 岩手医科大学, 医学部, 教授 (80205864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 邦昭 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00305989)
工藤 與亮 北海道大学, 大学病院, 助教 (10374232)
平野 照之 杏林大学, 医学部, 教授 (50346996)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経画像診断学 / 磁気共鳴画像 / 脳循環代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳循環代謝検査は脳卒中の予防や急性期診療において重要な役割を果たしているが、ゴールドスタンダードである15O-PETや薬剤負荷SPECTは、侵襲性・汎用性・即時性・経済性の点で問題が多い。そこで、MRIによる拡散・灌流・磁化率画像を統合することで、脳血流量、脳血液量、脳酸素摂取率、脳酸素消費量などの多角的機能画像を高精度に算出する独自の画像解析法を開発し、急性期脳梗塞や慢性脳虚血における精度検証を行うことで、PET・SPECTの代替となりうる次世代の無侵襲脳循環代謝検査法を確立する。本研究によって、慢性脳虚血における発症・合併症の予測や急性期脳梗塞における迅速・厳密な虚血重症度の評価が容易となり、治療戦略決定や有害事象予防に寄与することが期待できる。当該年度は以下の研究を実施した。 【MRIによる多角的無侵襲撃脳循環代謝解析法の開発】IVIMでは、独自の解析ソフトウエアを用い、f画像(CBV)の精度が最も向上するパラメータを検討した。ASLでは、Hadamard符号化によるATT補正法を新たに実装し、CBFの精度が最も向上するバラメータを確立した。QSMでは、フィルタリング・血管除去アルゴリズムの改良を実施し、OEFの安定性が向上した。 【MRI撮像法の標準化と解析アルゴリズムの最適化】5社の3T MRIでQSM元画像を統一プロトコルで撮像し、上記で改良したQSMソフトウエアを用いて解析し、問題のあった2社の読み込み・解析が可能とるようソフトウエアを改良した。 【PET・SPECTとの比較によるMRI脳循環代謝検査法の精度検証】CEA術前の慢性脳虚血患者20名に対し、3T MRIを用いてIVIM・ASL・QSM元画像を撮像し、PETまたはSPECTも併せて撮像した。また術中・術後イベントや予後についての情報収集を随時行った。また、急性期脳梗塞患者10名に対し、3T MRIを用いてQSM元画像、拡散強調画像、MRAなどを撮像し、有害事象や予後についての情報収集を随時行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【MRIによる多角的無侵襲撃脳循環代謝解析法の開発】ASLでは新たにHadarmard符号化アルゴリズムを導入することができ、CBFの精度向上をいち早く実現できた。また、QSMアルゴリズムの改良によってOEF定量値の安定性が向上した。一方、IVIMにおけるCBVの精度向上は十分ではなく、パラメータのみならずアルゴリズムのさらなる見直しが必要と考えられた。 【MRI撮像法の標準化と解析アルゴリズムの最適化】QSMについては、5社の3T MRIで撮像可能な標準プロトコルを確立するとともに、QSMソフトウエアを改良し、いずれの装置でもOEF画像を算出可能とすることができた。一方、IVIMに関しては、CBV算出基本アルゴリズムの最適化が未達だったため、5社間の標準化・最適化は実施できなかった。 【PET・SPECTとの比較によるMRI脳循環代謝検査法の精度検証】CEA術前の慢性脳虚血患者については、予定通りMRI, PET/SPECTの撮像を実施することができた。急性期脳梗塞患者については、倫理委員会の承認などの時間を要したため、承認後は順調に撮像を実施したものの、予定の半数に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
【MRIによる多角的無侵襲撃脳循環代謝解析法の開発】次年度はIVIMにおけるCBVの精度向上に重点的に取り組むとともに、Hadamard符号化ASLによるCBV算出アルゴリズムの開発にも取り組む。また、IVIM-CBV, ASL-CBF, QSM-OEFコレジストレーションソフトウエアの開発を実施する。 【MRI撮像法の標準化と解析アルゴリズムの最適化】IVIM-CBVの5社間の標準化・最適化を実施する。また、ATT補正ASLアルゴリズムの相互検証と最適化を実施する。 【PET・SPECTとの比較によるMRI脳循環代謝検査法の精度検証】CEA術前の慢性脳虚血患者については、Hadamard符号化ASLを加えたMRIおよび PET/SPECTの撮像を実施し、両者を比較検討する。急性期脳梗塞患者については、引き続きMRI撮像を実施し、OEFと従来指標とを比較検討する。
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