2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation therapeutic intervention of intracerebral connectivity associated with epilepsy and memory
Project/Area Number |
17H04305
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
川合 謙介 自治医科大学, 医学部, 教授 (70260924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 憲一 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 臓器・運動器病態外科部, 医師 (30784847)
手塚 正幸 自治医科大学, 医学部, 助教 (40721311)
中嶋 剛 自治医科大学, 医学部, 講師 (60625995)
佐藤 信 自治医科大学, 医学部, 臨床助教 (80742345)
高橋 宏知 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (90361518)
大谷 啓介 自治医科大学, 医学部, 助教 (90790676)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | てんかん / 記憶 / 神経ネットワーク / 海馬 / 迷走神経刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高周波数の局所微小活動から大脳皮質広域光トポグラフィー(NIRS)や機能的MRI(fMRI)による低周波数活動の記録により、てんかんと記憶に関わる脳内の機能的ネットワークの特性を抽出し、それに対する外科的介入や電気刺激による介入の影響を明らかにして、機能温存的さらに機能増強的な革新的治療の開発の端緒とすることを目的とする。その特色は、われわれの開発した記録システムを用いて、きわめて広い周波数帯域の活動を捉え 、これをラットからヒトまでの至適モデルに応用しようとする点にある。てんかんに対する新しい手術や電気刺激による介入は、てんかん焦点の単純な切除や抑制ではなく、生理的・病的な機能ネットワークの修飾として作用している可能性があり、その機構を理解し治療効率を高めることは、革新的治療の開発につながる可能性がある。本年度は以下の研究を遂行した。 (1)ミニブタ大脳皮質における実験:外科的介入および電気刺激介入の準備 初年度に確立し、安定記録を可能とした全身麻酔下ミニブタ頭蓋骨背面の開頭による、functional near-infrared cortical imaging-ECoG同時計測系にさらに改良を加え、記録ポイントを2点から8点に増やした。鼻粘膜刺激による体性感覚野に誘発される電位変化とNIRS変化の空間的分布を比較検討し、ある程度の整合性が確認できたが、微細な分布には差異があり、その原因を検討中である。また、脳回に単一の皮質切開を加え、記録を行った。切開前後の多点同期性の変化について解析中である。 (2)海馬多切術によるてんかん・記憶ネットワーク修飾の検証:健常人および術後患者における記憶課題fMRIと安静時fMRI 記憶課題のfMRI検査を健常者で繰り返し、海馬と中心とした側頭葉内側が賦活される課題を確立した。海馬多切術前後の患者3名で、この記憶課題のfMRIと安静時機能結合計測用の検査を施行しデータを得た。その変化を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験、ヒト臨床例での検討とも、ほぼ予定通り進行したが、動物実験において以下の点で修正が必要であった。 ・多点記録システムはラット脳への配置はサイズ上困難があるため、ミニブタ実験に焦点を絞ることとした。 ・大脳皮質への切開および電気刺激による修飾の検討のうち、切開実験を優先させ、電気刺激を行わなかった。ミニブタ実験では頭数に制限があるが、単一個体で両実験を行うことは、各々の操作の相互作用が除外できない。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) ミニブタ大脳皮質への外科的介入による広域ネットワーク修飾と効率化 1) 平成30年度に発展させた多点測定系を用いて、外科的介入による広域ネットワークへの修飾実験を行う。fNCI-ECoG+SU/LFP同時計測により、局所の高周波活動と遠隔部位での低周波振動との相関を解析する。大脳皮質に軟膜下皮質多切を加え、処置領域内、処置領域外、処置領域内外のconnectivityを評価する。最終的な解析をまとめて報告する。 (2) 海馬多切術によるてんかん・記憶ネットワーク修飾の検証: 1)海馬多切術前、術後1ヶ月以内、6~12ヶ月の3ポイントでmemory-encoding paradigmのfMRIを施行する。最終年度に5例を終了できる予定である。fMRIの賦活パターンおよびdefault mode network connectivityの変化をまとめて解析する。海馬多切術後の記憶回復過程の基盤となるネットワーク結合を明らかにする。最終的な解析をまとめて報告する
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