2018 Fiscal Year Annual Research Report
免疫グロブリン様受容体(IgLR)分子群を標的とした次世代骨吸収抑制薬の開発
Project/Area Number |
17H04309
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高畑 雅彦 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (40374368)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 廣美 (木村―須田) 千歳科学技術大学, 理工学部, 教授 (00574857)
古川 潤一 北海道大学, 医学研究院, 特任准教授 (30374193)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 破骨細胞 / 骨吸収 / 免疫受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
DAP12と会合する免疫受容体IgLRのうち,胎生致死であるSIRPβ1を除くSiglec-15,MDL-1,TREM2の遺伝子欠損マウスおよび野生型マウスについて,卵巣摘出による閉経後骨粗鬆症モデルの解析を前年度に引き続き行った.3種類のIgLRのうちエストロゲン欠乏による骨量減少や海綿骨の骨梁構造劣化に対して有意に抵抗性を示したのはSiglec-15のみであった.組織学的にはMDL-1遺伝子欠損マウスでは誘導される破骨細胞が少ない傾向があったが,WTと比較して有意な差はなかった.TREM2遺伝子欠損マウスでは組織学的に有意な変化はなかったが,Siglec-15欠損マウスでは海綿骨領域に小型の破骨細胞しか形成されていなかった. Siglec-15の細胞外領域とIgG Fc領域の融合タンパクおよびコントロールとしてSiglec-15細胞外領域のシアル酸認識領域であるアルギニン残基をアラニンへと変異させたSiglec-15 point mutant (R143A)-IgG Fc融合タンパクを作成した.Sigelc-15-IgG Fc融合タンパクとのみ相互作用するリガンド糖鎖キャリアタンパク質の候補となるバンドから抽出したタンパクをMALDI-TOF MASSで分析した.さまざまなタンパクが検出された中で注目すべき分子のひとつとしてtartrate-resistant acid phosphatase type 5が同定された.Sigelc-15とTRAP5aとの相互作用については生体内においてどのような役割があるのかについてはさらなる検討が必要である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
北海道胆振東部地震に伴う停電により,冷所保管が必要であった試薬類の変質,サンプルの作成不良などが生じ,関節炎モデルや転移性骨がんモデルの作成,検討が大幅に遅れた.高価な試薬の再購入も困難であることから,モデルを絞って実験計画を変更して進めている.免疫受容体群のリガンド糖鎖同定研究についても同様に生化学実験試薬の損失により停滞を余儀なくされた.マウス系統は自家発電等により維持された.
|
Strategy for Future Research Activity |
生理的骨吸収に重要なIgLRの同定:複数のIgLR遺伝子もしくはITAMアダプタータンパクを同時に欠損するマウスの骨表現型を解析することにより,どのIgLRが生理的骨吸収に重要な役割を果たしているのかを明らかにする.マイクロCTによる骨微細構造解析,硬組織標本を用いた骨組織形態計測,血清マーカーによる骨代謝状態の評価,脱灰組織標本を用いた各種染色による組織学的観察で破骨細胞の形態学的,機能的評価,アルカリフォスファターゼ染色による骨芽細胞評価,CD34による骨内血管評価などを行う. 病的骨吸収に関与するIgLRの同定:遅延している関節炎における骨吸収抵抗性を示すIglRの同定研究を進める.マイクロCTによる骨破壊状態の比較,硬組織標本を用いた骨組織形態計測,脱灰組織標本を用いた骨吸収評価,血清マーカーによる比較評価を行う. IgLRのリガンド糖鎖の同定:これまでに行った網羅的糖鎖解析結果をもとにしたリガンド糖鎖,リガンド糖鎖キャリアタンパクの同定を引き続き行う.IgLRと親和性のあるリガンド糖鎖キャリアタンパク質の候補の中から破骨細胞と相互作用する細胞膜タンパクを選択し,それらが実際にリガンド糖鎖を含有しているかどうかを検討する
|