2018 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎の発生・維持・変性の分子機序解明を目指した統合的研究
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17H04311
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
筑田 博隆 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30345219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50282661)
大島 寧 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50570016)
松林 嘉孝 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50747962)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 整形外科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性腰椎症は変形性膝関節症を上回る膨大な患者数がいるものの、人工膝関節置換術のような長期に安定した治療法はない。分子病態解明、さらには発生学的研究においても、脊椎は四肢関節と比べて大きく立ち遅れている。東京大学医学部整形外科ではこれまでに開発したマウス変形性腰椎症モデルをベースに、脊椎の各組織の発現解析を行い、組織特異的Creマウスや初代細胞培養法など脊椎基礎研究に必要な基盤技術を開発し、脊椎の形成、維持、変性を一元的に理解するための統合的研究を計画した。まずレーザーマイクロダイセクションなどを用いた脊椎の発現解析を行い、正常マウス成体の椎間板、および変性モデルの各段階の線維輪、髄核、周囲靭帯を切り取ってmRNAを回収し、RNAシーケンスを行った。得られた発現遺伝子群についてパスウェイ解析を行い、それぞれの組織で重要な役割を果たすであろうシグナル経路の候補を複数得た。そのうちの一つ、椎間板線維輪の内側に特異的に発現する遺伝子についてはタモキシフェン誘導性のCreマウスを樹立し、Rosa26-tdTomatoと交配させてトラッキングを行ったところ、椎間板線維輪周辺のprogenitorと思われる細胞群を標識することができた。現在そのCreマウスを様々なfloxマウスと交配させ解析を進めている。またこの候補遺伝子については、椎間板摘出術で得られたヒト椎間板サンプルにおいても発現していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り候補遺伝子のCreマウスも作出し、セルトラッキングでCreが適切に作動していることも確認できた。進捗はほぼ計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の3つのサブテーマについて実施する。 ・ミニブタ線維輪、髄核の初代培養技術の確立:ミニブタは皮膚や骨格、軟骨の構造などがヒトに酷似しており、さらに国内のブリーダーによってクローズドコロニーが複数確立されている。1頭から十分な量の組織が得られ、肉眼でも十分に組織を識別できることから、ミニブタの線維輪細胞、髄核細胞の初代培養法の確立を目指す。昨年までに得られたマーカー遺伝子の発現を確認し、初代培養細胞としての性質を検討する。 ・脊椎の形成・維持・変性を制御する候補遺伝子の機能解析:前年度までの発現解析、およびゲノムワイド関連解析の結果から、脊椎の形成・維持・変性を制御する候補遺伝子として2つを選定し、in vitro, in vivoで解析を行う。 ・セルトラッキングによる脊椎組織の細胞ターンオーバーの解析:線維輪マーカー遺伝子として同定したものの一つは既にCreマウスを作出済みであり、これとRosa26tdTomatoを交配させてセルトラッキングを行う。
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Research Products
(4 results)