2018 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of osteochondral function via activation of FGFR3 signaling
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17H04312
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鬼頭 浩史 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40291174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 健一 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (40646519)
松下 雅樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60721115)
長田 侃 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80815324)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | FGFR3 / 軟骨無形成症 / 骨延長 / 変形性関節症 / 塩酸メクリジン |
Outline of Annual Research Achievements |
骨伸長の抑制因子である線維芽細胞増殖因子受容体3(fibroblast growth factor receptor 3: FGFR3)の恒常的活性型遺伝子変異により軟骨無形成症(achondroplasia: ACH)が発症するが、ACHは低身長を呈するだけでなく、骨延長手術時における骨再生能が旺盛なこと、変形性関節症(OA)に罹患しにくいことなどの臨床的特徴を有する。本研究ではFGFR3活性型のACHモデルマウス(Fgfr3ach)を用い、FGFR3シグナルによる①骨再生能、②軟骨変性に対する作用の分子メカニズムを検討するとともに、③骨伸長促進剤(ACHに対する根本的治療薬)の開発を目指す。 ①2種類のマウス骨延長モデル(短期延長モデルおよび長期延長モデル)を用いて、新生骨をマイクロCTでFgfr3achとWTで比較したところ、モデルマウスにおいて有意に骨形成が促進していた。各種免疫組織学的検討により、モデルマウスでは新生骨部位において内軟骨性骨化が亢進していることが明らかとなった。すなわち、FGFR3で内軟骨性骨化が促進することにより、延長仮骨の骨形成が促進することを明らかにした。 ②自然発症のOAマウスおよびOA誘発モデル(DMMモデル)において、WTおよびFgfr3achの大腿骨遠位および脛骨近位の関節軟骨をサフラニンOで染色し、OARSIスコアを用いて軟骨変性を評価したところ、モデルマウスではWTと比較して有意に関節軟骨が維持されていた。モデルマウスでは軟骨下骨の骨硬化が抑制されており、このことが関節軟骨維持に関連していることが示唆された。 ③さまざまな濃度の塩酸メクリジンを7日齢のモデルマウスに10日間、1日2回経口投与したところ、4mg/kg/dayまでは骨伸長が促進されたのに対し、8mg/kg/day以上では毒性が有意となり骨伸長促進効果を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FGFR3の骨延長モデルにおける骨形成促進効果、およびOAモデルを用いた関節軟骨保護作用に関する研究結果をまとめ、高裁学術雑誌に投稿した。軟骨無形成症治療薬の開発研究として、塩酸メクリジンの薬効範囲を同定し(1mg/kg/day~4mg/kg/day)するとともに、高濃度では毒性が生じることを明らかとした。2018年には、医師主導第1相治験「軟骨無形成症患者(小児)に対する塩酸メクリジン製剤の安全性及び薬物動態の検討」を実施し、12名の軟骨無形成症患者の薬物動態データをまとめた。本研究で実施している基礎研究を基にして、医師主導治験を実施できたことから、ここまでは順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
メクリジンの骨伸長促進作用につき、in vitroでの研究を追加する。メクリジンはFGFR3下流のMEK1/2に直接、もしくは近傍で作用していることが予想されるが、分子作用点を解明する目的で、RCS(rat chondrosarcoma)に対してLentivirus-shRNAを用いてMEK1/2をノックダウンしてメクリジンの効果を評価する。また、メクリジンによるMEK1/2のkinase活性の変化をin vitro kinase assayにより明らかにする。オフターゲット効果の可能性については、下記により検討する。(1)FGFR3はMAPK経路の他にSTAT経路があることが知られている。メクリジンがSTATのリン酸化に関与しているかについて、抗リン酸化STAT1抗体を用いてウェスタンブロット法で検討する。(2)他のシグナル経路を担うタンパク質の関与も否定できない。メクリジンが機能を制御していると考えられるMEK1/2はMAPKKファミリーに属するkinaseであるため、このファミリーに属する他のタンパク質(MKK4/7、MKK3/6、MEK5など)に機能することも考えられる。これに関しては、JNK1-3、p38、Erk5/BMKなどのリン酸化状態をそれぞれの抗リン酸化抗体を用いてウェスタンブロット法で検討する。 in vivoにおける研究としては、モデルマウスへのメクリジンの長期投与による薬効や安全性を検討し、有効薬剤濃度を決定する。これらの基礎研究で得られたデータを基に、メクリジンを用いた第2相医師主導治験実施を目指す。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Physical, mental, and social problems of adolescent and adult patients with achonroplasia2019
Author(s)
Matsushita M, Kitoh H, Mishima K, Yamashita S, Haga N, Fujiwara S, Ozono K, Kubota T, Kitaoka T, Ishiguro N
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Journal Title
Calcif Tissue Int
Volume: 104
Pages: 364-372
DOI
Peer Reviewed
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