2017 Fiscal Year Annual Research Report
Efficacy of C5a antagonist for human iPS-derived neural precursor cells transplanted into injured spinal cord
Project/Area Number |
17H04318
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
名越 慈人 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10383837)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / C5aアンタゴニスト / 補体 / 細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
ⅰ)脊髄損傷マウスの補体活性・サイトカイン評価 補体機能が温存されているSCID-Beigeマウスの脊髄損傷後の病態を把握するため、、脊髄損傷前と脊髄損傷後のサイトカイン量の評価を行った。胸髄10番レベルに圧挫損傷を行い、損傷後1日目で脊髄組織を取り出し、ELISAを用いて包括的評価を行った。コントロールとして非脊髄損傷のSCID-Beigeマウスから同様に、脊髄組織を取り出して評価した。その結果、脊髄損傷後1日目とコントロール群で比較するとC5a・CD54・IL1・MCP-1・CXCL-1が脊髄組織内で上昇を認めた。C5aはもとより、IL-1・CXCL-1といった白血球・マクロファージを活性化するサイトカインも上昇しており、液性免疫による炎症反応が活性化していると考えられる。
ⅱ) C5aアンタゴニストによる移植効率向上に対する効果の検証 C5aアンタゴニストの移植効率向上に対する効果を調べるため、C5a antagonist投与群およびPBS投与群に分けて、脊髄損傷モデルを作成した。損傷後8日目よりC5aアンタゴニストを0.3mg/kg/dayで連日投与を行った。損傷後9日目にヒトiPS細胞由来神経幹細胞の移植を施行した。IVISで移植後1週ごとに生着率の測定を行ったところ、4週目までにおいてC5a群で高い発光強度を認めた。 組織学的には移植後5週の時点で、両群共に移植細胞の生着を認めた。マクロファージやミクログリアが、移植細胞の周囲に存在することを認めた。さらにBMS scoreを用いて行動機能評価を1週ごとに行った。損傷後6週間経過を追ったところ、両群間で有意差は認められなかったが、個体数が少ない影響も懸念されるため、今後更なる検証を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は予定通り、平成29年度にマウス損傷脊髄モデルへの細胞移植法と、C5aアンタゴニストの投与法(濃度及び期間)を確立している。従って、研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、C5aアンタゴニスト投与後のマウスの損傷脊髄内の炎症動態をさらに検証する。組織学的評価やflow-cytometryを用いてミクログリアやマクロファージの定量評価を行う。その上で、ヒトiPS細胞由来神経前駆細胞を亜急性期に移植して、細胞の生着や分化能、運動機能評価を行う。 上述の研究結果により、細胞移植治療に対する補体抑制剤の有効性が示された場合は、混合リンパ球反応試験を用いて、実際にヒトiPS由来神経前駆細胞とリンパ球との反応を評価する予定としている。 平成30年度より、得られた研究成果の報告を学会や論文で行っていく予定である。
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