2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of mechanism of pathogenesis of postoperative and sepsis-associated delirium and cognitive dysfunction and development of the prophylaxis.
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17H04319
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
廣田 和美 弘前大学, 医学研究科, 教授 (20238413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 伸哉 弘前大学, 医学研究科, 教授 (00312158)
櫛方 哲也 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (80250603)
二階堂 義和 弘前大学, 医学研究科, 助教 (50613478)
橋場 英二 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (10374844)
村上 学 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80302090)
斎藤 淳一 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (90647413)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 譫妄 / 認知機能 / 手術侵襲 / 敗血症 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
基礎研究:加齢と敗血症による認知機能低下の原因となる因子の探索と予防的治療法の開発を目指し、昨年度に引き続き本年度も高齢敗血症モデルラットを用いて研究を進めた。昨年度、lipopolyscaccaride (LPS, 1 mg/kg i.p.)投与による高齢敗血症モデルラットにおいて認知機能低下と脳内Lipocalin-2 (LCN2)濃度上昇を見出しており、本年度はLCN2関連経路を抑制することで認知機能低下が抑制されるか検証した。LCN2は鉄イオン輸送に関与することから、本研究では鉄キレート剤Deferoxamine (DFX, 100 mg/kg i.p.)の前投与によってLCN2関連経路の抑制を図った。その結果、DFX投与によってLPS投与高齢敗血症モデルラットの新規物体認知能はLPS非投与高齢ラットと同程度に維持された。しかし、DFX投与はLPS投与高齢敗血症モデルラットのLCN2濃度上昇に対して抑制効果が弱く、DFXのLPS誘発認知機能低下抑制効果にLCN2が直接的には関与していない可能性が示唆された。 臨床研究:症例数を増やした結果、α波の割合は麻酔開始3時間の時点で術後譫妄を生じた群で非譫妄群より有意に低下し、この傾向は翌日まで変化がなかった。炎症性マーカーである血中CRP、プロカルシトニン(PCT)、プレセプシン(PSP)、LCN2濃度は譫妄群と非譫妄群で差はなかった。また、譫妄群ではα波の割合とPCT(r=0.344, p<0.05)、PSP(r=0.454, p<0.01)の間に強い相関を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の影響で、手術症例数が予想より減少している点と動物舎改修に伴う制限などにより若干予定よりは遅れている。しかし、期間内に終了できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
[基礎研究](1)鉄キレート剤Deferoxamine(DFX)のLPS誘発認知機能低下抑制効果:昨年度、DFX前投与によってリポカリン2(LCN2)関連経路の抑制を図った結果、高齢敗血症モデルラットの新規物体認知能は回復したが、DFX投与はLCN2濃度上昇抑制効果は弱った。このため、今年度は、DFXのLPS誘発認知機能低下抑制効果機序を明らかにするために、鉄代謝異常によって起こる細胞死であるフェロトーシスの関与について鉄イオン含有量・Feroportin発現量を指標に検証をする。またLCN2は神経炎症にも関与していることから、炎症性サイトカインであるIL-6やTNFα、NF-κBについても検討する。 (2)高齢術後モデルマウスでの術後せん妄の発症機序解明:術後高齢マウスは、自発的交替運動低下、空間認識能障害を示すことが昨年度の研究で分かったので、海馬サンプルからプロテオーム解析および電気生理学的解析を行う。 [臨床研究](1) ICUに入室する頭頚部・食道癌根治術後患者での譫妄状態・認知機能の評価と血中各種炎症性マーカー測定、脳波解析:術後全身炎症状態となる頭頚部・食道癌根治術後にICUに入室する患者を、麻酔導入直後からICU入室翌日までBIS モニタを用いて脳波パワー密度等の解析を行なう。それと同時に譫妄度を評価する。血中LCN2並びに各種炎症性マーカー(プロカルシトニン、プレセプシン、CRP等)の測定を行ない、譫妄と炎症の程度並びに脳波との関係を解析する。平成29年から継続的に検討してきたが、患者数が十分でないため本年度も継続する。現在の所、α波のパワー密度と炎症とは相関があるが、譫妄の発生との相関はない。しかし、α波の割合は、麻酔開始3時間から24時間後にかけて、譫妄群で有意に減少するため、症例数を増やして確定させる。
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Research Products
(2 results)