2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of analgesic strategy with anti-tumor effect
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17H04322
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
川股 知之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80336388)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん / 痛み / がん増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん患者管理において、鎮痛薬はがんの生育にはほとんど影響しないことから、鎮痛治療と抗がん治療は別に考えられてきた。応募者はこれまでの研究でTRPV1発現神経の活性化ががんの痛みの伝達とがんの増殖に重要な役割を果たしていることを明らかした。したがって、TRPV1発現神経をターゲットにすることにより鎮痛とがん増殖抑制を同時に行うこれまでにない画期的な治療法を開発できる可能性がある。そこで本研究では、活性化したTRPV1発現神経を選択的に抑制できる正に電荷した局所麻酔薬を用いて、がん増殖を抑制する画期的な鎮痛法を開発することを目的とする。平成30年度は、申請者が平成29年度に開発した足底がん痛モデルを用いて、がん痛みとがん増殖に対するTRPA1とTRPV1の関与を検討することを目的とした。まず初めに、TRPA1がTRPV1と共発現していることからTRPV1陽性神経を化学的に除去し、足底がん痛モデルを用いて、がん痛みとがん増殖を調べた。その結果、対照マウスと比べ、痛みは減弱したが、予想に反して、がん増殖は促進した。次に、TPA1遺伝子欠損マウスとTRPV1遺伝子欠損マウスを用いて、TRPA1とTRPV1の関与を検討した。その結果、TPA1遺伝子欠損マウスとTRPV1遺伝子欠損マウス共に、野生型マウスと比べ、自発痛行動と熱性痛覚過敏が減弱したが機械性痛覚過敏は変化なかった。また、TPA1遺伝子欠損マウスとTRPV1遺伝子欠損マウス共に、野生型マウスと比べ、腫瘍の増殖が抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
TRPV1/TRPA1の活性化により末梢神経からCGRPが放出され、腫瘍増殖が促進されると仮説しているため、、TPA1遺伝子欠損マウス、TRPV1遺伝子欠損マウス、および野生型マウスで局所でのCGRP濃度を測定する。さらに、TRPV1およびTRPA1が活性化される時期を調べるために、後根神経節の免疫組織によりTRPA1およびTRPV1陽性細胞でのp-CREB発現を検討する。次に、QX-314の効果を検討するために、浸透圧式持続注入ポンプをマウスの背部皮下に埋め込む。以前の研究をもとにQX-314は0.3 mg/kg/hr、3 mg/kg/hr、もしくは10 mg/kg/hで持続投与し、対照群と痛みとがんの増殖を比較する。
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Research Products
(11 results)