2017 Fiscal Year Annual Research Report
進化論モデルを用いた単一起源細胞から子宮癌肉腫への発生機序解明と治療法の開発
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17H04336
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
榎本 隆之 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90283754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井ノ上 逸朗 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 教授 (00192500)
吉原 弘祐 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40547535)
安達 聡介 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50613147)
石黒 竜也 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80625690)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 子宮癌肉腫 / 発生起源 / オミックスデータ / 遺伝子変異 / 融合遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
The Cancer Genome Atlasに登録されている子宮癌肉腫57症例から得られたRNAシークエンスデータを、我々が開発したPileline for RNA sequence Data Analysis (PRADA)に当てはめ、かつ独自のフィルタリング方法を用いることで、390個の融合遺伝子を同定した。そのうち、融合タンパク質に翻訳される融合遺伝子は113個あり、ALK融合遺伝子を含む7種類のキナーゼ融合遺伝子を同定した。またIGF2-DDX27融合遺伝子とCFLAR-NDUFB3融合遺伝子はそれぞれ2症例で認めたが、それ以外の融合遺伝子は各種類1個のみであった。 また卵巣肉腫1症例について、全エクソンシークエンスおよびRNAシークエンスを実施した。全エクソンシークエンス解析により、8個の非同義変異を認め、そのうち1つは腫瘍細胞の分化・生存に関与することが知られているPRUNE2遺伝子のナンセンス変異であった。またRNAシークエンスデータをPRADAにあてはめることにより、2つの信頼性の高い融合遺伝子を同定した。そのうち、MXD4-NUTM1融合遺伝子はこれまで報告されていない新規融合遺伝子であり、融合遺伝子を構成するNUTM1遺伝子はNUT midline carcinomaの原因遺伝子として知られており、本症例の肉腫組織においてNUTM1のタンパク質発現が著明に亢進していることを明らかにしている。 さらに子宮癌肉腫由来のスフェロイドを2株樹立に成功しており、来年度以降にスフェロイドを用いた機能解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に、子宮癌肉腫に対するRNAシークエンス解析を実施し、子宮癌肉腫における融合遺伝子プロファイルを明らかにしており、RNAシークエンス解析は順調に進んでいる。 また子宮癌肉腫の発症メカニズムの検証に向け、子宮癌肉腫由来のスフェロイド樹立を進めており、すでに2症例で安定培養可能な状況にある。今後もスフェロイド樹立を継続して行うため、来年度および最終年度に予定している実験を完遂できると思われる。 レーザーマイクロダイセクションによる癌部と肉腫部位の選択および抽出を可能にするため、レーザーマイクロダイセクション法を用いたサンプリングを婦人科腫瘍検体で継続して行なっており、来年度以降の計画を予定通り進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、まず婦人科病理のエキスパートとともに子宮癌肉腫の癌部位と肉腫部位の同定を行い、確実にレーザーマイクロダイセクションで癌部位と肉腫部位を採取する。採取された組織から核酸(DNA/RNA)を抽出し、Agilent社BioAnalyzerを用いてQuality checkを行う。Agilent社SureSelect Human All Exon V6を用いてExon濃縮を行い、ライブラリー作成後Illumina HiSeq2500シークエンス(100bp paired end)を行う。得られたFastqファイルからエクソームシークエンスデータパイプラインを用いて体細胞変異を抽出し、各体細胞変異に対してANNOVAR algorithmを用いて機能的注釈付けを行う。体細胞変異リストから、癌部位及び肉腫部位に特異的な遺伝子変異を抽出する。また遺伝子変異リストから、偶然に起きた(”by chance”)一塩基置換より統計学的に有意に頻度の高い遺伝子変異を特定するために、MutSig algorithm (Lawrence et al. Nature 2013) を用い、子宮癌肉腫の発生に重要な遺伝子変異を特定する。
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Research Products
(26 results)
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[Journal Article] Novel therapeutic strategy for cervical cancer harboring FGFR3-TACC3 fusions2018
Author(s)
Tamura R, Yoshihara K, Saito T, Ishimura R, Martinez-Ledesma JE, Xin H, Ishiguro T, Mori Y, Yamawaki K, Suda K, Sato S, Itamochi H, Motoyama T, Aoki Y, Okuda S, Casingal CR, Nakaoka H, Inoue I, Verhaak RGW, Komatsu M, Enomoto T.
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Journal Title
Oncogenesis
Volume: 7
Pages: 4~4
DOI
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[Journal Article] Sox2-dependent inhibition of p21 is associated with poor prognosis of endometrial cancer.2017
Author(s)
Yamawaki K, Ishiguro T, Mori Y, Yoshihara K, Suda K, Tamura R, Yamaguchi M, Sekine M, Kashima K, Higuchi M, Fujii M, Okamoto K, Enomoto T.
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Journal Title
Cancer Sci.
Volume: 108
Pages: 632-640
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] The significance of activated Pl3K/AKT pathway in FGFR3-TACC3 fusion positive cervical cancer2017
Author(s)
Ryo Tamura, Kosuke Yoshihara, Tetsuya Saito, Ryosuke Ishimura, Emmanuel Martinez-Ledesma, Yutaro Mori, Kaoru Yamawaki, Kazuaki Suda, Tetsuya Ishiguro, Youichi Aoki, Seiya Sato, Hiroaki Itamochi, Masaaki Komatsu, Roeland Verhaak, Takayuki Enomoto
Organizer
AACR annual meeting 2017
Int'l Joint Research
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[Presentation] The efficacy and safety of radical trachelectomy for early stage cervival cancer during pregnancy2017
Author(s)
Kosuke Yoshihara, Nobumichi Nishikawa, Makoto Chihara, Tatsuya Ishiguro, Sosuke Adachi, Masanori Isobe, Kazufumi Haino, Koji Nishino, Masayuki Yamaguchi, Masayuki Sekine, Katsunori Kashima, Takayuki Enomoto
Organizer
第69回日本産科婦人科学会学術講演会
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[Presentation] 癌性腹膜炎が疑われた結核性腹膜炎の2症例2017
Author(s)
安達 聡介, 上田 遥香, 工藤 梨沙, 茅原 誠, 石黒 竜也, 郷戸 千賀子, 吉原 弘祐, 磯部 真倫, 小林 暁子, 西野 幸治, 西川 伸道, 関根 正幸, 榎本 隆之
Organizer
第59回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
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[Presentation] 卵巣癌に対するベバシズマブ投与後の手術は安全に施行可能か?2017
Author(s)
西野 幸治, 上田 遥香, 茅原 誠, 石黒 竜也, 安達 聡介, 郷戸 千賀子, 吉原 弘祐, 磯部 真倫, 小林 暁子, 西川 伸道, 関根 正幸, 榎本 隆之
Organizer
第59回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
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[Presentation] 進行卵巣癌に対する腹腔鏡生検の意義2017
Author(s)
谷地田 希, 西野 幸治, 安達 聡介, 上田 遥香, 工藤 梨沙, 茅原 誠, 石黒 竜也, 郷戸 千賀子, 吉原 弘祐, 小林 暁子, 西川 伸道, 関根 正幸, 榎本 隆之
Organizer
第59回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
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[Presentation] 腹腔鏡下付属器手術後に境界悪性あるいは悪性卵巣腫瘍と診断された9例の検討2017
Author(s)
小林 暁子, 茅原 誠, 石黒 竜也, 安達 聡介, 郷戸 千賀子, 吉原 弘祐, 磯部 真倫, 西野 幸治, 西川 伸道, 関根 正幸, 榎本 隆之
Organizer
第59回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
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