2017 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞の分化パターンによる頭蓋縫合早期癒合症の分類と病態メカニズム解明
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17H04357
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井関 祥子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80251544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武智 正樹 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, テニュアトラック助教 (10455355)
要 匡 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, ゲノム医療研究部, 部長 (40264288)
塗 隆志 大阪医科大学, 医学部, 助教 (40445995)
上田 晃一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90257858)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 頭蓋縫合早期癒合症 / 骨芽細胞 / 遺伝子発現パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、頭蓋縫合早期癒合症患者の骨芽細胞を分離するための、外科手術時におけるヒト頭蓋冠骨の取得のシステムの確立を試みた。分担研究者の機関のみならず、複数の機関から協力が得られることとなった。 ヒト頭蓋冠骨からの骨芽細胞分離について、安定した方法の確立を検討した。通法として提唱されている、骨片周囲の軟組織除去を目的とした酵素処理後、再度酵素処理して回収された細胞と静置した骨片から遊走した細胞を比較した。前者の方法で回収した細胞は細胞増殖活性が非常に低く、後者の方法で回収した細胞は石灰化誘導培地によって石灰化が誘導されたことから、後者の方法で骨芽細胞を分離することとした。 マウス初代骨芽細胞の分離法を習得し、頭蓋縫合早期癒合症のモデルマウスの頭蓋冠から初代骨芽細胞の分離法を安定させた。 ヒト頭蓋縫合早期癒合症の原因となる変異が同定された遺伝子群、ASXL1、CDC45、COLEC11、EFNB1、ERF、FGFR1、FGFR2、FGFR3、IHH、IL11RA、MEGF8、MSX2、POR、RAB23、RUNX2、AKI、TCF12、TWIST1、WDR35、ZIC1について、マウスオーソログ遺伝子の発現を、分離したマウス初代骨芽細胞で検討を開始した。頭蓋縫合早期癒合症モデルマウス由来の初代骨芽細胞の分化段階において、原因となっている複数の遺伝子の発現レベルが野生型マウス由来の初代骨芽細胞と異なる結果が得られ、遺伝子発現レベルによって頭蓋縫合早期癒合症骨芽細胞の分類ができる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複数の施設でヒト由来の標本を扱うことから、連携がうまく取れていない部分があったが、昨年度中にその問題は解決したため、今年度の実施には影響はない予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度中に安定に標本が取得できるシステムを構築したので、今年度はヒト骨芽細胞を中心に実験を行う予定である。また、協力機関が増加したことで頭蓋縫合早期癒合症でない患者の骨片が取得できることとなったため、iPS細胞の作製よりも、初代骨芽細胞で実験を行う可能性を検討することとしている。頭蓋縫合早期癒合症の遺伝子原因が判明している患者および判明していない患者、および頭蓋縫合早期癒合症ではない(骨折など)患者の骨芽細胞で関連遺伝子の発現レベルを、なるべく由来患者の年齢が近いもので比較する。 この比較により、原因遺伝子が不明な患者骨芽細胞が、原因遺伝子が明らかになっている患者骨芽細胞との関連遺伝子の発現パターンの関連性を明らかにし、患者分類への応用を検討する。 さらにこの比較の中で、原因遺伝子が不明であり、かつ原因が判明している患者由来の骨芽細胞と同様もしくは大きく異なる遺伝子発現パターンを示す骨芽細胞を用いてChiP-Seqを行ない、頭蓋縫合早期癒合症の骨芽細胞に特異的なエピジェネティクス状態や遺伝子発現を明らかにする。
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