2018 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞の分化パターンによる頭蓋縫合早期癒合症の分類と病態メカニズム解明
Project/Area Number |
17H04357
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井関 祥子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80251544)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武智 正樹 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, テニュアトラック助教 (10455355)
要 匡 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, ゲノム医療研究部, 部長 (40264288)
塗 隆志 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (40445995)
上田 晃一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90257858)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 頭蓋縫合早期癒合症 / 骨芽細胞 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭蓋縫合早期癒合症には症候群性と非症候群性を併せて約 60 の遺伝子に原因となる変異が報告されているが、頭蓋縫合早期癒合症全体の 20%程度の症例を説明するにすぎず、また、環境要因が関与する割合も明らかでない。病態としては、骨芽細胞の分化亢進と考えられているが、症候群ごと、すなわち遺伝的要因が明らかになっている頭蓋縫合早期癒合症で特徴的な表現型があることから、この分化亢進にはパターンがあると考えられる。病態推移の予測が可能になると、治療方針が立案しやすいだけでなく、新規治療の開発も行いやすくなる。現在、遺伝的要因にのみで患者を分類することが不可能であることから、骨芽細胞分化マーカーの発現パターンによって頭蓋縫合早期癒合症の分類ができるのではないかと考えるにいたった。 しかしながら、頭蓋冠骨においては、その骨芽細胞は年齢とともに骨化能力が変化することが知られており、患者由来の骨芽細胞間および正常骨芽細胞での骨芽細胞分化マーカーの発現パターンを比較するのは困難であると考えられる。iPS細胞は、その由来する体細胞組織に特徴的なエピジェネティクス状態を維持し、それゆえ由来する元の組織の細胞へと分化しやすいことが報告されている。この特徴を利用し、患者頭蓋冠骨芽細胞をiPS細胞化して未分化状態へと誘導してから骨芽細胞へと再分化させる系を確立して骨芽細胞分化マーカーの発現パターンを比較し、患者を分類する。 連携医療機関にて採取した頭蓋骨手術切削片より骨芽細胞を単離法を確立した。症候群性の癒合症患者由来骨芽細胞間および正常骨芽細胞での骨芽細胞分化マーカーの発現パターンの比較を行った結果、群間での骨芽細胞分化マーカーの発現量に優位に差を認めた。iPS細胞の樹立作業も並行して行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各施設での倫理審査を受け、検体の採取が開始された。 検体から骨芽細胞の単離も行われており、それと並行してiPS細胞樹立作業を行っている。また、エピジェネティクス状態を解析するための条件設定を行っている。 ,
|
Strategy for Future Research Activity |
対照群および疾患患者頭蓋骨由来の骨芽細胞よりiPS細胞を樹立し、骨芽細胞へと再分化させる系を確立する。 再分化させた骨芽細胞において骨分化マーカーの定量的解析を行う。 ポリロタキサン(PRX)などの生体材料による患者の骨芽細胞分化の制御の評価も検討する。
|